はてなキーワード: Nikon 1とは
iPhone出る出る詐欺で、日経を読んでない人々にも広く知られるようになった日経恒例の「飛ばし」。他の分野でも昔からやってますよね(まとめ:任天堂が激怒!もう信用できない日経の「飛ばし記事」の数々 - NAVER まとめ)。なんで日本最大の経済新聞がこんなことを繰り返しているのか?
結論から言うと、これはただの裏取りなしの架空情報というわけではなくて、9割方はリーク記事です。それも多くは社内や関係企業からのものです。リークする側の動機は、概ね以下の2つに集約されます。
そのニュースが株価にどう影響するか、コンシューマーや業界がどう反応するかを見る、観測気球としての記事。iPhoneの飛ばし記事内で「シェアノルマの調整で難航中」という説明が何度も繰り返されたのは、ドコモ関係者がAppleに対して「社内では、この部分で妥協すれば話がまとまる情勢だ」というメッセージを送っていたことになります。
方向性が定まらない選択肢に対してメディアを使って規定路線の流れを作りだす、飛び道具としての記事。市場的に好感されない二者択一の場合は、対立派閥の動きを先に明らかにして潰す。日立・三菱重工の経営統合記事などは後者の流れにあったものだと思われます(社長がぶらさがりで肯定したので余計に混乱が起きた)。
つまり日経は、一部関係者の何らかの意図を元に、確度の低いニュースを紙面に載せている。これは正確には「飛ばし記事」というより「思惑(おもわく)記事」とでもいうべきものです(なお、このエントリでは日経を擁護しているわけではありません。これは報道機関としての客観性・信頼性を放棄して企業なりステークホルダーのプロパガンダに協力しているということであり、時にはステークホルダーによる市場操作すれすれの状況も発生しうるので、「飛ばし」より悪質だという見方も当然あるでしょう)。
実際にも、上のまとめにある「ドコモのiPhone販売」「ニコンのミラーレス一眼販売(Nikon 1)」「Kindleの国内投入」「任天堂の大画面3DS投入」などは、時期は相当ズレたものの、結局は実現しましたよね。その多くは「ずっと同じこと書き続けてるうちにたまたま実現した」というわけではなく、「それを実現したい一部の人たちの意向を代弁してずっと書き続けているうちに、一部の人たちが勝った」ケースなのです。
ですから、日経が他紙の報じないスクープ記事を報じ、他社が追随しない場合のわれわれの適切な反応は、「日経がまた飛ばし記事書いてるよwwwwww」ではなく、『誰がどういう思惑でその情報をリークしたのかを、いろんなシナリオで考えてみること』です。だからこそ、あれだけ事実が異なる報道が多発していても、日経はまだ経済紙として機能しています。経済紙というフィールドに限っては、出所や確度の怪しい情報も、その「怪しさ」という次元において、新たなメタ情報を読み解くことができるからです(そして、実際にそうしている市場関係者は少なくありません)。
そうした読解をせずに、報道された記事内容を100%信じ込むのも、「また飛ばしかw」と100%無視するのも、情報感度の低さでは大差ありません。