結論から言うと、私は痴漢や痴漢冤罪問題の責任は8割方鉄道会社にある、と思っている。
それは何故か。
たとえば警察・裁判所が改心して、取り調べを可視化し、不当な長期勾留を止め、実名報道も止め、強引な有罪判決も止めたとしよう。
確かにこれによって痴漢冤罪のリスクは多少低下するが、それ以外は何も変わらない。
満員電車が変わらず走り続ける以上痴漢自体の数が減ることはないし、
痴漢という犯罪が被害者の供述頼みになりがちな状況も引き続きである。
せいぜい泣き寝入りが少し増え、冤罪が少し減るだけだろう。問題を大きく改善するには至らない。
(一方、他の冤罪事件に関しては警察・司法の責任が大きいことも多い。
そのため彼らにヘイトが向きがちなのも理解できるが、痴漢冤罪問題について彼らを主犯だとするのは「別件逮捕」だと言わざるをえない)
これは「犯人は悪くない」と言いたいのではない。個々の事件については犯人の責任はもちろん大きい。
しかし、犯人を糾弾することが痴漢事件の減少に大きく寄与するとはあまり思えない、というのが1点。
(啓蒙活動には意義があると思うが、解決策として用いるのには疑問がある。道徳の授業を増やせば殺人事件が有意に減るのだろうか?)
そして、特に痴漢がこれだけの件数発生している現状を鑑みると、
痴漢問題全体としては、「適切な対策を取ることができていたか?」という管理者側の責任がより問われてくるだろう、というのが1点。
この2点から、より責任を問われるべきは鉄道会社側だと考えるのが妥当だ。
効果に疑問しかないポスターと、ごく一部しかカバーできていない女性専用車両だけである。明らかに適切な対策とは言い難い。
「痴漢する奴が悪い、我々も被害者だ」と彼らは言いたいのかもしれないが、
一番問題解決に近い部分にいながら、コストや利便性を理由に、目の前で起こっている問題をスルーし続けてきたのは鉄道会社だ。
警察を責めるのもズレているし、司法を責めるのもズレているし、痴漢の犯人を責めるのでさえ少しズレている。
どれも「火に油を注いでいる存在」ではあるが、「出火元」ではない。
私はそう思っている。
それなのに、「司法問題の縮図だ」という弁護士のブログと「痴漢死ね」という増田だけがバズり、
鉄道会社の責任を問う意見がその影に隠れてしまっているように見えるのは、心底納得いかない。
正直、これだけ話題になっておいて鉄道会社が何も動かないようだったら本当に暴動モノだと思う。客をナメているのにもほどがある。
鉄道会社「嫌なら乗るな」