2015-07-16

お付き合いを断り、結婚提案して決まった話

最近、年上の男と結婚することになった。

今年25になるわたしが、大学に入ってすぐに出会った年上の男。

遠方の違う大学のひとではあったが、共通の友人を介して会った。

初めて会った時は、まだお互いに学生だった。

彼はわたしに聞いた。

「お前の人生をかけて一番好きな本は何だ?」

初対面で不躾な聞き方をされたが、不思議と嫌じゃなかった。男っぽい、いかにも都の西北にいる男だと思った。

わたしはひとつ小説名前を挙げた。

その3日後、『あの小説読んだよ。お前は難儀な女だなあ』とだけ言われたことを覚えている。

 

それから数年。

何度か会ったが、いかんせん遠方にいる人。

その地に遊びに行った際に、複数人でご飯を食べたり、たまにふたりで甘いものを食べに行く、そんなかんじ。

会った回数は両手で足りる。

彼はわたしの心を許せる、お兄ちゃんのようなちょっと遠くの先輩でありつづけた。

気づけばふたりとも、遠方同士のまま社会人となった。

 

わたしは5月、お付き合いしていた男と別れ、フリーとなった。

次付き合う人は、結婚したいと明確に思える人がいいなと思った。恋愛に、どこか疲れていたからだ。

そこで思い浮かんだのは、なぜか先輩だった。

『先輩、好きです。わたしと結婚して下さい』

どう考えても唐突だったと思うが、わたしはそう言いたくて仕方がなかった。

心の何処かで、初めて会った時から、なんだか結婚するならこの人だと思っていた。

たまに会うだけの遠方の先輩後輩。だから言っても意味ないし、言わないでおこうと勝手に思っていたはずだった。

のに、なぜか突然提案してしまった。なぜそういったのだろう、よく覚えていない。

叶わないお願いだとは思っていたが、3日ほど迷った末の先輩の結論は、まさかイエスだった。

 

もちろん言われた。

「お前のことは女としても好きだったけど、どこかで後輩だと線引していた部分がある。まずはお付き合いから考えてみるのはどうかな、お付き合いならイエスだよ」

なんてことも言われた。真っ当であるし、ポジティブな答えである普通に考えれば、いい先輩だ。

だが、わたしは応える。

「先輩とわたしは直感ですが、お付き合いだとうまくいかないと思う。先輩は昔、女遊びが激しかったのも知ってるし。やはり結婚しましょう、どうですか?いきなりお付き合いすっ飛ばし結婚クレイジーで最高に面白いでしょう。わたしと面白いこと、したくないですか?」

と、訳の分からない説得もした。

そしてなぜか、先輩は折れた。

 

先輩は勿論悩んでいたらしい。共通の友人にも深夜相談していたらしいし、色々と女関係の整理もしたそうだった。労力をかけて色々なことをしていたのは知っている。その上で彼はイエスと言う。わたしもアレだが、先輩もなかなかクレイジーだ。面白いことをいう男だと思った。

そうと決まれば話は早い。

わたしは新卒3ヶ月で会社辞表を出した。先輩のいる土地へ行くためであるむちゃくちゃだ。そう思ったけれども、不思議なことにそう決めると、次の土地での仕事は決まるし、自分の夢見ていたあこがれの会社に拾ってもらうこともでき、したい仕事に明確につくことが決まったのである面白いよね。

人生幸運が落ちてきた。

キスセックスもしていないまま、結婚だけ決めてしまった。

わたしは今、幸福感に満ちていて、誰よりも先輩のことが好きで、実際に結婚が決まってからも会ってみれば最高にいいオトコだなと改めて思う。バラの花束もってきて、照れてる年上の男、最高じゃないか。先輩への叶わないと思っていた長年の憧れが、気の迷いとしか思えないわたしの唐突な揺さぶりによって叶ってしまうなんて、クレイジーだ。漫画かよ。だけど面白いし最高だ。

お付き合いせずに決まってしまったが、こういう結婚もありなんだと思う。

婚約指輪を選びに銀座へ行く約束はまもなくだ。わたしはこの夏、引っ越す。

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