2013-11-18

かわいそうなカラス

とある森がありました。

森にはいろんなお店があって、お店のどうぶつさんたちはいっしょうけんめい商売していました。

どうしたらもっと素敵なお洋服が作れるかな?

どうしたら今より美味しいパンが焼けるだろう?

みんな頭で考えて、手を動かしてうんうん悩みながらお仕事していました。

さて、ここに一羽のカラスがいました。

カラスは声が大きくて、なんでも知っていました。

「やぁ、そんなんじゃあっという間に時代おくれさ!新しいお店をこれから作るなら絶対にエメラルドグリーンだよ、都会じゃみんなそうしてるのさ!」

おいおい今時新製品イチジクのパンなんて正気かい?古いよそんなもの、僕がもっといい果物を教えてあげよう!」

森のみんなは物知りカラスに大喜びです。

これだけ自信満々にいろんな話を交えて教えてくれるからには、絶対に正しいいやり方なのです。

自分で調べるよりきっと素晴らしい、画期的な、間違うことなどありえない方法なのです。

「さあ、僕は君たちのために情報を与えてそれを成し遂げる方法も教えてあげた。

なあに、お礼なんてほんの少しだけでいいさ」

カラスの巣にはいつもキラキラの宝物でいっぱいでした。

みんなカラスさんに感謝していました。

あるとき一匹のリスがカラスのところへやってきました。

カラスさんカラスさん、どうかわたしを弟子にしてくださいな」

そのリスは森でカゴを編んでは食べ物を交換しているリスでした。

「わたしは上手にカゴを作れるけれど、上手に食べ物と交換できないのです」

「ああいいよ!

僕は今でこそこうしてみんなのアドバイスばかりしているけれど、

近いうちに誰も見たことのないものを作り上げるんだ!

君にはその手伝いをさせてあげよう」

「わあ、さすがはカラスさん!」

リスは満月が三回やってくるまでは「見習い」ということになりました。

けれどリスは知ってしまったのです。

一度めの月がめぐるまではいっしょうけんめいでした。

二度目の月がめぐるころ、

このカラスにはクチバシだけで脳みそがないのです。

弟子入りするときカラスは言いました。

「僕はね、何でも屋にはならないんだ。

頭で稼ぐのさ。

僕にはほかの人と違った物の見方ができる。新しいいことも教えてやれる。

みんなは僕の頭にお金を払うのさ」

しかどうでしょう

弟子入りすると、かご職人だったリスにははっきりわかってしまうのです。

カラスの自慢の発想力やらは驚くほど幼稚で、

そんなのお向かいうさぎさんの奥さんのほうがよっぽど面白いのです。

五年前に都会の大きな大きなカラスがやろうとして大失敗した計画を、

まだ誰も思いついていなことのように語る姿には、

試されているのだろうかとすら思いました。

またあるときはとっても綺麗なガラス玉をもってきて

「これを売れるようにしてくれないかい」といったくまさん大事ガラス玉に、

「いまこんなものが売れるわけがない、売り方?

そんなの知るわけないだろう、時代遅れなのに」

そう言って、カラスさんの評判を聞いてやってきたくまさん

方法写真も文章も自分で考えてください。

ああ、でも報酬キラキラの石はたんとくださいよ」と言いました。

くまさんは怒って帰ってしまいました。

当然だな、とリスは思いましたが、カラスくまさんをとてもとても悪く言うのでした。

満月が三度やってきて、

リスは「とてもここではやっていけない。小さな屋台が欲しいだけの動物さんに巨大で高価なお店を売りつけたり、相手の商売のことをしろうともしないカラスさんのところでは詐欺師しかなれない。僕はお客さんのための仕事がしたいんだ」とカラスさんのもとを去りました。

それからリスさんは、

とっても優秀な羊さんのところへ弟子入りしました。

羊さんは、考えることと手を動かすこと、

みんなが気持ちよくそうできる場所を作る大切さを知っていました。

リスは考えます

カラス詐欺師だったのでしょうか。

多分違うな、と思いました。

きっとあのカラスは、自分脳みそがないことに気づいていないのでしょう。

自分でも、自分画期的ものを作れると信じているのでしょう。

何てかわいそうなカラス

(あれだな、結局営業上がりのシャチョーさんなんざ、

訪問販売と変わらんのだな。

自分脳みそがないことに気づいてそのへんに強いコアメンバー入れなきゃ、

ただのコンサルもどき詐欺会社しかならんよなあ)

おわり。

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