2013-02-23

70年代ピアノ教室ブームが90年代のJ‐POPの基礎を作った。だがもうそのような時代は来ない。

今後の21世紀、さらに22世紀にかけ、音楽業界、J‐POP

「黄金の1980年代・90年代」の遺産を食いつなぐだけの業界になっていく気がする。

まり、新作の曲もアーチストもあまり輩出されず、1980年代・90年代ナンバー

2050年も2100年も聞いている、そういう状況。

なぜそう思うのか?という理由の一つは「20代人口の長期的減少」というのがあり、

まりアーチストを輩出する若年人口のものが減少するので、有能なアーチストの数も減る、という

身も蓋もない人口理論が理由であるのだが、それ以上の理由としては

習い事としてのピアノの地位低下」がある。

1970年代、高度成長がひと段落した日本の各世帯では、

子供に習いこどをさせよう、ということで、高いピアノを購入して、子供ピアノ教室に通わせた。

70年代に、幼少の時分に音楽イロハマスターした世代が、成長して80年代90年代音楽シーンを支えたのである

その意味では、J‐POPは「70年代ピアノ教室の申し子」と言えよう。

翻って現代では、確かに習い事に行く子供は以前にもまして多いが、

その内容は、より即物的に「塾」とか「英会話」とかである

あとはせいぜい、体力増強を目的としたスイミング程度。

「役に立たない、手に職つかない」とみなされるピアノは、習い事としての地位を急速に落としている。

衝撃的なデータとして、国内ピアノ販売台数のデータがある。

2010年の販売台数は、1992年の、わずか7分の1。

2011年になって、震災の影響で、ようやっと急減傾向に歯止めが掛かったそうだが、焼け石に水。

ピアノ習い事として不利な理由はほかにもあり、カネが掛かる、という以外に

「そもそも家が狭い」

マンションで近所に騒音迷惑かけてしまう」という点で敬遠されてしまう。

じゃあ70年代大丈夫だったのか?という疑問もあるが、

70年代は戸建住まいがマソション住まいよりも多かった、70年代郊外の広い家住まい

首都圏外の地方住まいがまだまだ多かった、ということだろう。

結局、70年代80年代の、日本リッチだった時代に、「子供に付けさせた教養」が、

10年後20年後にJ‐POPとして花開いた、ということで、

日本からリッチさがなくなり、子供教養つけさせる余裕がなくなった」時代からは、

うそのような文化の開花は期待薄だろう。

しかしつくづく思うに、なぜ70年代80年代に、一見役に立たないピアノがブームになったのか?

一つには「花嫁修業」「娘をピアノ弾けるようにしておくと、将来いい男を捕まえられる」という

親の打算もあったと思う。

果たして、どれだけ花嫁修業になり得たのか、いささか疑問ではあるが)

もう一つには、「豊かさのアイコン」の役目を、ピアノ果たしていたんじゃないか?と思う。

いわば「成功の象徴、ステイタス消費、記号消費」のようなもの

そういえば、この頃(70年代)の少しリッチな家庭は、百科事典を揃えているケースもあったそうだ。

百科事典って、年に1回も使うか使わないかだし、そもそも場所を取って仕方ないが、

そういうのを購入することが、一種のステイタス消費だったんだろう。

記号消費と言えば、「課長マークⅡ、部長クラウン」的なところがあって、

「役職についたから、クルマをワンランク上に買い換える」のがお約束だった時代でもあった。

ピアノの購入というのも、「マイホームを建てた人のお約束」的ムードが、あったんだと思う。

結果的に、それが10~20年後にJ‐POPの隆盛につながったんだろうなあ。

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