今後の21世紀、さらに22世紀にかけ、音楽業界、J‐POPは
「黄金の1980年代・90年代」の遺産を食いつなぐだけの業界になっていく気がする。
つまり、新作の曲もアーチストもあまり輩出されず、1980年代・90年代のナンバーを
2050年も2100年も聞いている、そういう状況。
なぜそう思うのか?という理由の一つは「20代人口の長期的減少」というのがあり、
つまりはアーチストを輩出する若年人口そのものが減少するので、有能なアーチストの数も減る、という
身も蓋もない人口理論が理由であるのだが、それ以上の理由としては
子供に習いこどをさせよう、ということで、高いピアノを購入して、子供をピアノ教室に通わせた。
70年代に、幼少の時分に音楽のイロハをマスターした世代が、成長して80年代90年代の音楽シーンを支えたのである。
その意味では、J‐POPは「70年代ピアノ教室の申し子」と言えよう。
翻って現代では、確かに習い事に行く子供は以前にもまして多いが、
「役に立たない、手に職つかない」とみなされるピアノは、習い事としての地位を急速に落としている。
2010年の販売台数は、1992年の、わずか7分の1。
2011年になって、震災の影響で、ようやっと急減傾向に歯止めが掛かったそうだが、焼け石に水。
ピアノが習い事として不利な理由はほかにもあり、カネが掛かる、という以外に
「そもそも家が狭い」
「マンションで近所に騒音迷惑かけてしまう」という点で敬遠されてしまう。
70年代は戸建住まいがマソション住まいよりも多かった、70年代は郊外の広い家住まい、
結局、70年代80年代の、日本がリッチだった時代に、「子供に付けさせた教養」が、
10年後20年後にJ‐POPとして花開いた、ということで、
「日本からリッチさがなくなり、子供に教養つけさせる余裕がなくなった」時代からは、
しかしつくづく思うに、なぜ70年代80年代に、一見役に立たないピアノがブームになったのか?
一つには「花嫁修業」「娘をピアノ弾けるようにしておくと、将来いい男を捕まえられる」という
親の打算もあったと思う。
(果たして、どれだけ花嫁修業になり得たのか、いささか疑問ではあるが)
もう一つには、「豊かさのアイコン」の役目を、ピアノが果たしていたんじゃないか?と思う。
いわば「成功の象徴、ステイタス消費、記号消費」のようなもの。
そういえば、この頃(70年代)の少しリッチな家庭は、百科事典を揃えているケースもあったそうだ。
百科事典って、年に1回も使うか使わないかだし、そもそも場所を取って仕方ないが、
そういうのを購入することが、一種のステイタス消費だったんだろう。
記号消費と言えば、「課長はマークⅡ、部長はクラウン」的なところがあって、
「役職についたから、クルマをワンランク上に買い換える」のがお約束だった時代でもあった。
ピアノの購入というのも、「マイホームを建てた人のお約束」的ムードが、あったんだと思う。
結果的に、それが10~20年後にJ‐POPの隆盛につながったんだろうなあ。
1990年代の日本音楽シーンは、まさに「黄金時代」だった。 聞き手も歌い手も第二次ベビーブーマーで層が厚く、またベビーブーマーが幼少時に受けたピアノの習い事の成果が...
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