2012-10-22

匿名顕名ボーダーライン

例の「ただで商品が届くと思うんじゃねえよ」の話。

ここのところっつーか、あちこちの会社社長さんとかが失言しまくって盛大にツッコミ食らうのは、昨今じゃ珍しくもなんともない光景になったわけなんだけど、あれって単に「公共性レベル」の設定みたいなのをまちがえちゃった人が多いだけなんじゃないか、という気がする。

というのは、昔からサービス業の人が裏で客のことボロクソに言ってたりするのはよくあったことのはずで、単にそれが可視化されたに過ぎないわけだ。もっと可視化っつってもなにもツイッターだけに始まったことではなくて、それこそサポセン黙示録みたいなものはあったわけだけど。

あれは、所属を明らかにしてるかどうかっていうところがボーダーラインなんだろうなあと。

匿名でそれをやる場合は、書く人と受け取る人に温度差はあるんじゃないかな、と思う。だいたいにおいて書く人のほうは「匿名からやっちゃってオッケー」と思ってて、読む人はそうは思わない。だれだって「裏でなんか言われてる」と思うのはいやだし。

あと匿名性のレベルの問題もある。2chみたいなほぼ完全に匿名場所もあれば、はてなIDだっていってみれば匿名だ。顕名に近づけば近づくほど叩かれる要素は増えていく。

まあ、そこで今回のケースみたいに完全に顕名の人がやらかしちゃったことについては、こりゃもう迂闊もいいところで同情の余地はないんだけど、なぜそういう迂闊なことをやらかす人が続出するかについては、ネットにおける発言の公共性レベル勘違いしてたんだろうな、と思うほかない。企業を背負って発言してるんだ、という意識がすぽんと抜け落ちちゃってるような状態。それにしたって今回のやらかし具合はちょっと理解できないんだけど……。なにはともあれ「業務に関係する可能性がある人」がいる場所でああいうこと言っちゃうのはまずいよね。内容の正当性云々以前の問題。

個人的には、ネットがある程度はグチの吐き出し場所として機能している側面がある以上、発言者所属を明らかにしない場合はギリでセーフかな、と思う。サービス業に限らず仕事のグチとか言う人はたくさんいるわけだし。匿名だと、罵倒の向かう先が明らかではない。所属が明らかになっている場合は「顧客のうちのだれか」に対する攻撃なわけだから、こりゃアウトでしょうと。原理的には個人攻撃と大差ない。

まあ、今後もこういう事例って増えていくんでしょう。ついうっかり、というレベルでなく「文句があるならうちのサービスを利用しなきゃいい」という人も出現するかも。よくも悪くも、ネットってものを通じて、特定の個人が企業を「ひとりの人間として」代表することが可能になってしまったわけで、イメージ操作もしやすい反面、ダメージも負いやすい。ここでは「そういう時代になったんだなー」という以外にさしたる感想はない。

この状況が進むと、実際のサービス店舗やらを利用する前に情報空中戦みたいな状態になっちゃって、すべてがイメージ先行とかになっちゃうような気もするんだけど、金を使う側ってのはシビアからなあ。大して変わんないのかもしれない。

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