はてなキーワード: 楽屋入りとは
男役絶対上位の世界で、娘役さんは不憫だなあって、その卒業を見送ってみてしみじみと思った。
男役だったら、それなりにファンがいて、賑やかに卒業を見送ってもらえるのに、娘役だとそうはいかない。
最後の日の楽屋入りも、なんとか人数をかき集めて体裁を整える。
それっぽっちの人数を仕切る経験もスキルもないから、退団した同期のファンクラブスタッフに頼るしかない。
卒業する時になって初めて経験したという彼女は、感極まったかのように嗚咽した。
フェアウェルもとても簡素で、同日開催の他の会場に比べると見劣りするのは仕方なく、もっともっと盛大に見送ってあげたかったなって想いが募った。
愛と夢の世界である筈の宝塚で現実を目の当たりにして、残酷だなって改めて思った。
うんざりするほどのファンに囲まれて華々しく卒業していく人、ごく限られた身内に近い人間に見送られて卒業していく人。
残酷だな。
もっともっと評価されて、もっともっと重用されるべき人だったと今でも思う。
きっと過酷な世界を渡っていくには足りないものがたくさんあったんだろう。
それでも彼女がまだ舞台に立つことを見据えて、そのために卒業を決めたのだということは希望だった。
みずからを「役者」だと言ったこともそうだし、有限だと分かっている中でこんなことをしてる場合ではないと見切りをつけたその潔さに惚れ惚れした。
多くの人に未だ気づかれない彼女のことをちゃんと見つけることの出来た自分を褒めてあげたい。