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2022-06-22

フィクション作品の影響

息子の義信の謀反、諏訪氏出身側室諏訪御料人(諏訪御寮人)の子の勝頼が武田氏家督を継いだ史実や、テレビドラマ小説などの創作物の影響により、信玄との不仲説や悪妻説などが流布している。また不器量で暗愚な上に公家の家柄を鼻にかけ、高慢嫉妬深い悪妻という否定的イメージを持たれることもある。

これらのイメージはほぼ全て新田次郎作の小説武田信玄』によって作られたものである。ただし、新田原作の映像である1988年NHK大河ドラマ武田信玄』では、紺野美沙子が演じる三条夫人自身信玄を慕うあまり南野陽子が演じる側室の湖衣姫(諏訪御寮人)への嫉妬心を抱く、「恋敵」としての役回りという感が強い。小説内の悪女要素は小川眞由美が演じる侍女八重が演じた。また、小説版でも中盤以降は禰津御寮人や嶺松院と良好な関係を築こうと努力したり、自分の意固地さを反省したりするなど善性の面も描かれている。

2007年NHK大河ドラマの『風林火山』(井上靖原作)では、原作とは違い、可憐で繊細な少女というイメージに転換。池脇千鶴が演じる三条夫人は全く高慢なところがなく、ひたすらに晴信を慕いながらも芯の強い女性を演じている。唯一、偶然に晴信から柴本幸が演じる由布姫(諏訪御料人)への恋歌を目にしてしまい、女心から嫌味を言うシーンがあるが、その直後に目に涙を浮かべるなど一貫して純情な乙女として描かれている。また一方では諏訪御料人のイメージも「軟」から「硬」へ180度転換していることから一般的に浸透してしまった歴史通念に対する、制作側の意図的な挑戦であると言えよう。なお、同じ井上原作映像である1969年邦画風林火山』では久我美子が演じている。

 
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