思えば、なぜ私はせっかく修めた専門分野を投げ捨てて品出しに従事しているのだろう。
たしかに物流は興味深い分野であったが、私の能力や適性を鑑みるに、相性はよろしくない。
要領や察しの悪さは、職場の不文律に対する不適合、業務知識の欠如、動作性IQの不足によるものだろう。
しかしながら、売り場の商品の位置は業務知識であるが、つぶしの効かない業務知識である。
この店の配置に精通したところで、この店でしか活かされることはない。
そういう虚しさが私の労働意欲を削いでいるのだろうか。
もっとも、それはどんな仕事にも多かれ少なかれ存在することである。
そんなことを口にしてまでこの仕事に疑義を呈するあたり、本来の不満は別にあるのではないか。
職場の上長と相性が悪いのもしかり、仕事を早くこなしたからといって特にメリットがないのもしかり。
けっきょく年次評価で、個別の貢献など一切考慮されることなく、自動的に一律賃上げされるだけだ。
資本主義の国にありながら、共産主義社会に身を置いているかのような心地だ。
というわけで、来週あたりに機を伺って申し入れてみるか。