彼は、人類が栄え、そして滅び去る過程を静かに見守り続けてきた。
学生時代の習慣、毎日の腹筋と腕立て50回は、変わらぬ日課として。
かつて彼をからかっていた運動部の仲間たちは、時の流れと共に衰え腕立て伏せすらままならない体になってしまった。
「筋肉は裏切らない」とよく言われるが、増田にはそれが単なる言葉以上の意味を持っていた。
彼にとって、筋肉は時間を超える唯一の友であり、孤独な永遠の旅の中で、変わらぬ自己を保つための手段だった。
「しかし、筋肉もまた、放っておけばいつかは消え去ってしまう。愛するものを失うのと同じように、薄情な存在だ」と彼は思う。
増田がかつて愛した人々、交流した街並み、文化や技術のすべてが、時間の砂に消えていった。
この日課は、過去への唯一の繋がりであり、失われた世界への追憶である。
彼にとって、この身体的な行為は、忘れ去られた人類の記憶を守る祈りのようなものだ。
星々が輝いているが、かつて人類が存在したことを知る者はもういない。
彼は深くため息をつき、「筋肉は裏切らない。しかし、この世界は全てを奪っていく」と独り言った。
だが、増田が本当に求めていたのは、身体の力ではなく、共に時を過ごし、共に老いることができる存在だった。
筋肉と共に生きることの意味を、そして全てを失っても続ける理由を。
彼は知っている。この孤独な旅がいつか終わることはない。
腹筋と腕立てが50回できるだけで褒められる。 学生時代は運動部のなららが平気で100回とかやるから、50回なんかじゃ「やっぱ文化系なんすねー増ちゃん」とか言われて舐められていたこ...
増田の物語は、数万年の時を超えて続く孤独な旅である。 彼は、人類が栄え、そして滅び去る過程を静かに見守り続けてきた。 学生時代の習慣、毎日の腹筋と腕立て50回は、変わらぬ日...