人間の言葉として成立する声を出すために事前に5秒ぐらい喉を作る時間が必要なんだよ。
風邪引いてる状態で頑張って喋ろうとしたときを思い出して欲しいんだけど、喉のあたりを上手い具合にこねくり回して痰絡みをワキに避けて空気の通り道を作る作業が必要なことあるだろ?
俺はいつもそうなんだ。
生まれてから今日までずっとずっと鼻炎だから、ずっとずっと喉の奥に鼻水が居座ってる。
それを避けておかがないとただ挨拶しようにも「ゴンニヂベッパバッb」みたいな声になちゃう。
だから曲がり角でいきなり人と遭遇したときとかに「おつかれまでーす」みたいに声を掛け合うのは無理。
お辞儀をするのが精一杯。
喉を作った状態で喋り続けてるならいんだけど、特に喋るわけでもなく喉を作り続けるのってしんどいんだよね。
特に歩きながらやるのは辛い。
だから挨拶しようとしてお辞儀だけになることが結構多いんだけど、アレを「アイツ感じワリーナ」と思われてそうなのがすげームカつく。
お前が気軽に考えてる挨拶に俺がどんだけ労力を必要とすると思ってんだよ。
多少気まずくてもいいから50m先から歩いてこい10mまで近づく頃には喉が出来てるから挨拶出来るよ。
いきなりエンカウントすると同時に挨拶を求められるのはしんどすぎる。
お前に分かる感覚でいうと、道で取引先にいきなりあって1秒後には相手が名刺を差し出していて自分もすぐに渡し返さないといけなくなるぐらいの緊張感と「いや無理だろ反応できね―よ」があるんだ。
分からねえだろうな。
いきなり声を出すっていうことが大変っていう感覚がそもそもさ。
分からねえだろうよ。
分からねえと思う。
もう諦めてるよ。
そうやって単に身体がちょっとだけ不自由なだけの人間を「普段はちゃんとしてそうだけど、咄嗟のときに真の人間性が明らかになる、根っこの部分じゃ失礼気回るクズ野郎」とでも思って暮せば良いよ。
アレを「アイツ感じワリーナ」と思われてそう 思われてないから安心しろ。会釈で十分 もしそれ以上を要求する奴がいたら俺が代わりに殴っとくわ