私は前向き駐車が嫌いで、前向き駐車と書かれた駐車場には絶対に停めない。
もちろんその会社の駐車場が前向き駐車しかない場合とかはあきらめるが、選択可能な場合は必ず避ける。
これは前向き駐車が苦手だとかそういうことではなくて、この前向き駐車と言う言語に全くセンスを感じないからだ。
なぜ「前」という、時間と空間で方向がガラリと変わり、向きによって容易にそれがどこか変貌する言語を用いるのか。
この前向き駐車という言語を発明した人間には全くセンスを感じないし、それをそういう言葉だとしてそのまま無批評に使うような駐車場も好きじゃあない。
私が一番好きな駐車場は、「前向き駐車」と説明しつつもイラストで車の向きを示している駐車場だ。
私はこういう駐車場にはちょっとした用を見つけて思わず入ってしまう。なぜなら車の向きがはっきり決まるからだ。イラストで。
こんな素晴らしい駐車場に着いては心も前向きになる。
「前」は多様な役割を持ついい言葉だ。そんないい言葉を「前向き駐車」はほぼ最悪の形で用いている。「前」の得意分野を全く活かせていない。
ただ私は前向き駐車の言葉に敏感になりすぎている気がする。
増田には論理を重視する(しすぎる)国語力増田がいて、正しさを振りかざしすぎてダークサイドに落ちかかっているのを見かける。世の中論理だけではない。
飲み会の時に自分より酔いすぎた人を見るとはたと冷静になれるのと同じで、国語力増田の絶対値に慄く人も多いだろう。
私はさしずめ国語感増田だ。前向き駐車の駐車場を「前向き駐車」の語彙が掲げられているだけで避けている。生活に害が及んでいるのかもしれない。
そのうち酔って漫歩しているときに「前向き駐車」の文字を見つけたらぶん殴ってしまうかもしれない(かつてそれでペッパーと喧嘩になった)。
あまり前向き駐車のことは考えない方がいいのだろう。