冷静と情熱のあいだという映画がある。2001年末に公開された原作つきの恋愛映画で、大学生の頃に別れた男女がその後それぞれの人生を歩みながらもお互いを想い続け、彼女の30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオーモ(大聖堂)で会うという10年前の約束を果たし再び結ばれるという話だ。
この映画が公開されたとき俺は大学生で、クリスマスに彼女と一緒に見た。俺も彼女もこの映画をいたく気に入り、映画の通り、月並みに、彼女の30歳の誕生日はフィレンツェのドゥオーモで過ごすことを約束した。しかし多くの大学生カップルがそうなるように、俺たちは社会人になる前に別れた。別れた理由は映画ほどドラマティックではなく、月並みな別れ方だった。それにどちらもイタリアとは無縁の学生で、その後もフィレンツェに行くこともなかった。彼女の30歳の誕生日までは。
10年前の今日、彼女は30歳になって、俺はフィレンツェのドゥオーモにいた。映画のように彼女のことをずっと想っていたわけではない。ただ、誰かと付き合うたびに彼女の影を見ていただけだ。その時俺は当時の恋人には出張だと告げ、会社には彼女と旅行と言ってイタリアに行った。
映画の中でも主人公の男は、一人で来て一人で帰ることになると思っていた、というようなことを言っていたが、俺もそのつもりでいた。再会した映画の中ほど俺たちはドラマティックな関係ではなかったから彼女がこの約束を覚えている可能性なんてないと思っていた。しかし彼女は現れた。映画と同じ日暮れ前に。
映画と違ったのは彼女がその時既に結婚していて、俺と同じように周囲の人に嘘をついてフィレンツェに来ていたことだ。俺たちは一晩だけの愛を交わして連絡先も交換せずに別れた。それ以来彼女とは連絡も取っていないし、俺は当時の恋人とそのまま結婚した。映画ほど俺たちはロマンティックではなかったからだ。
10年経って時効だとは言わないが、誰にも言えなかった話をここに記す。この話にはオチもなければ教訓もない。今でもあのフィレンツェの一日が何だったのか俺にはわからない。わかるのは、ただ冷静と情熱のあいだに居たことだけだ。
俺も彼女と冷静と情熱のあいだを観た。 小説も彼女と読んで楽しんだ。 フィレンツェに行く約束はしたが、彼女がどうしようもない依存症だった為、結局互いの意見の相違が別れる原因...
金色夜叉
また小説の試し書きか 増田で反応見るのやめろよ
「映画ほど俺たちはロマンティックではなかったからだ。」「この話にはオチもなければ教訓もない。」と付ければこんな文章でも読んでもらえるからね
国内に例えると、八戸と青森に住む二人がまだどちらも行ったことのない松江で再会って感じかな
そんなに暇だったの?
ただマンだな。何かと言えば。
冷笑と情熱の間世代「不倫だ不倫だー」 ドブネズミのように美しくなりたい