今年は運よくシフトがクリスマスと被らなかったので、そのぶん楽ちんだった。去年はクリスマスに被ったのだが、オーナーと本部の社員が二人がかりでひたすらチキンを揚げていて、私と女子フリーターアルバイトさんがひっきりなしにレジ接客をしていた。クリスマスだからってコンビニでチキンを買いたい人が世の中にはこんなに沢山いるのか! と驚いたものだ。
今年はチキンの製造工場のある国が感染症の蔓延で大変なことになったとかで、しばらく鶏肉原料のFF商品が欠品していたけど、クリスマスを目前に控えて復活したので、驚いた。そんな都合よく事が運ぶものなのか。世の中ってすごい。まあ、クリスマス休みの私には関係ないけどぉー。
先日、初めて見るお客様でとてもおしゃべりなお爺さんなお客様が来店。何かのチケットをおもとめだった。
「よう、姐さん。いい女がこんな時分にバイトかい? 彼氏とデートはしないんか」
「もう結婚してるだぁ? 姐さん今何歳なん。二十五、六に見えっけどよ」
「そんな若くないですよ、もうすぐ四十です」
「なに? ずいぶん若く見えるんだなぁ。おじさんと同じだ。俺も若く見えるって言われんのよ」
「まあ!」
「こう見えてもう八十よ。どうだ、若く見えんだろ」
「ほんと! もっとお若く見えます。あ、こちらチケットになります。お間違いないですか?」
「おう、間違いねぇ。おじさん若く見えるからこんな歳でもこういう遊びに手ぇ出しちゃうワケよ。若ぇカノジョに唆されてな。じゃあの!」
と、とてもおしゃべりなお爺さんなお客様はチケットをぴらぴら振って帰って行かれた。すごい、コミュ力の塊……こんなドラマみたいにしゃべる人いるんだ……。