ふと中学の時のことを思い出したので書く。
学校行事のたびに、「クラスメートの全員分の下の名前をひらがなで書くのが好きな女子」っていなかっただろうか。
体育祭の時の黒板とか、学級旗とか、遠足のしおりとか、寄せ書きとか。
スペースのあるところをみんなのファーストネームで埋め尽くす系女子。
ウチらのクラスは仲がよくて、気軽に下の名前で呼び合えるようなアットホームなクラスなんだよね~っていう「絆」の表明だと思う。
自分が中二の時のクラスに、それが好きな女子がいた。(Aちゃんとする)
Aちゃんは、クラスの中心的な存在で、行事が好きで、「クラスみんなで取り組も~っ」ていう感じの陽キャな女子。
宿泊行事のしおりの表紙の作成を任されたときにも、Aちゃんはいつものようにクラスメートの下の名前で空白を埋めていた。
でも、Aちゃんはそのときはやらかしてしまった。クラスの中の目立たない系の女子の名前を一人書き忘れてしまったのだ。
そのことが発覚したとき、Aちゃんは自分のミスにすごくショックを受けていた。泣きながら何回もその子に謝っていた。
書き忘れられたほうの女子は、Aちゃんがあまりにも泣きじゃくるので、逆にAちゃんのことを心配して慰めていた。
その子がクラスの中で、嫌われたり、いじめられていたというわけではない。
Aちゃんと仲が悪くて、意図的にハブられたというわけではもちろんない。Aちゃんに悪意なんて本当になかった。
Aちゃんは行事に向けてみんなの一体感を強めようと努力していたけど、
その「みんな」の一員として、その子の名前を思い出すことができなかった。
Aちゃんが大好きな「クラスのみんな」のなかに、その子の占める場所がなかっただけだ。
この騒動が起きた時に、自分がある種の爽快感を感じたことを思い出した。