あなたはネジ工場の品質管理を担当しているとする。極稀に不良品のネジが出荷されてしまうため、検査で弾きたい。
① 検査装置で怪しいネジをふるい分けたあとに、検査員がふるい分けられたネジを見て最終的に不良品を弾く
② 検査員が怪しいネジをふるい分けたあとに、検査装置がふるい分けられたネジを見て最終的に不良品を弾く
ほとんどの人が①を選ぶと思う。大量のネジを人手で確認するのはコストがかかるし、そんなに大量の正常品のネジを見ていたら不良品を見落としてしまいそうだからだ。
このように、検査を直列にする場合は、感度が高く(不良品を見逃さない)、コストが低い検査を最初に持ってくるのが鉄則である。
検査抑制論者による主張は「いきなりPCR検査をすると偽陽性が多くなるので、事前確率を高めてからPCR検査をする必要がある」である。
しかし、この主張には「事前確率を高める」という行為そのものが「検査」であるという観点が欠落している。
「検査」である以上、感度や特異度が100%ということはあり得なく、感度、特異度やコストを考えて全体プロセスを考えなければならない。
ここで、新型コロナウイルスに感染しても無症状の人が多数存在しているため、医師による診断の感度がPCR検査の感度を上回るとはとても考えられない。
また、医師の診断を経てPCR検査をしてもほとんどの場合陰性なので、特異度はPCR検査よりも著しく低いと考えられる。
加えて、医師というのは高コストなので、医師による診断がPCR検査と比較して特段コストが安いということもないだろう(もしかしたら医師に診断してもらうより、PCR検査のほうが安いかもしれない)。
この場合、「② 医者が怪しい患者をふるい分けたあとに、PCR検査で事前確率の高い集団を見て最終的に陰性患者を弾く」というのは、
単にコストを増やしてPCR検査単体より感度も特異度も低い検査をしているという可能性は十分にある(PCR検査のしきい値を変えれば特異度は上げられうるので)。
いずれにしても、PCR検査の感度、特異度、コストにばかり焦点が当たっていて、医師の診断というものの感度、特異度、コストに注目されないのはおかしいので、それぞれの特性を踏まえて総合的に検査プロセスが定義されることを期待したい。
発想の転換だよ増田 医師による検査は医師にとってはコストじゃない メリットなのさ 経営者じゃないんだから 労働者目線を身に着け給え
検診的なノリでまずは抗原定量見たいな感じにしとけば