2020-09-20

とある貞子の自家発電

ある日、ビデオの中から貞子が出てきた。とはいえ今はオンライン時代だ。

貞子は小窓化したYoutube動画の中から姿を現した。

俺はとっさに一時停止ボタンを押し、貞子を止めてみた。

貞子は小窓から出てくる途中でフリーズ

もしやと思いブラウザのタブを閉じてみると貞子は消えてしまった。

俺はタブを複製して貞子がどういう動きをするのか確認したくなった。

三枚のタブを開いてアクティブになっていない貞子はタブの隙間から滲み出るように実体化するようだった。

俺は貞子が取り憑いた動画ダウンロードすると、メディアプレイヤー10個開いて均一に並べた。

そしてスクリプトで貞子動画を走らせる。再生ループに設定し、貞子が止まらないようにした。

結果的10人の貞子が部屋を徘徊するようになった。

翌日、動画をすべて一時停止にした俺は、秋葉原ダイナモ鉛筆削りのようなローラ部品を買いあさりにでかけた。

そして家に帰ると貞子の出現する場所10人の貞子を遮るようにローラーを設置して遮ってみせる。

動画再生された。

たちまち貞子は大量に出現して目の前のローラから部屋に出てこようとする。

唸りを上げて発電するダイナモ。一緒に買ってきたバッテリーの残電池容量がみるみる増えてゆく。

やった、ついに俺はやったんだ。永久機関SADAKO TYPE-100が完成した。日本風に貞子百式でもいい。

こうして貞子発電の第一人者となった俺に多額のライセンス料が振り込まれマスコミが駆けつけるようになった。

しかし困ったことが起こった。貞子はコロナウィルス感染してある時大量死を始めたのだ。

俺の財産はあっという間になくなり、今日Youtubeで貞子を探している。

そういうわけだ。

どういうわけなんだと思うだろうが、そういうわけだ。

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