2020-05-13

ブラジャーの惚気

ブラジャーは1年に一度買う。毎回サイズを測ってもらって、アンダーとカップにあったものを選ぶ。柄はベージュの無地が一番良いが、店に在庫がない場合レース無しの柄物にすることもある。

一度に買うのは3枚で、これは洗い替えと予備を合わせた数になっている。一枚の定価は6500円程度で、25%オフの期間を狙って買うので一度の出費は15000円程度になる。毎月1000円程度ずつ積み立てる。4月ごろになると、お金を持ってワコールに行く。

ワコールは、母親から勧められて行くようになった。胸の大きな家系なので、安いブラジャーを使う選択肢はなかった。ノンワイヤーブラジャーを試したこともあったが、重たい胸を掴み上げて固定してくれる頼もしさが感じられず、結局ワイヤーブラジャーに戻した。

毎日ブラジャーと一緒に風呂に入る。自分風呂に浸かっている間、ブラジャーもつけ置き洗いをする。髪を束ねたあとにブラジャーを振り洗いして、タオルで挟んで脱水する。洗濯機は使わない。

ブラジャー洗濯機の脱水にかけていたことがある。自分洗濯を受け持った頃で、よく知らないままに洗濯機の脱水コースを選んでいた。しばらくすると、胸が苦しく感じるようになった。母親に話すと、黙って新しいブラジャーを買うお金をくれた。

胸が膨らみ始めた頃、辛くて仕方がなかった。単純な成長痛もあったし、それ以上に自分の体がみっともなくなる苦痛があった。自分では気に入っていた、手足の長い少年のような体が、徐々に女の丸々とした形に変わっていくのは恐ろしかった。体を動かせば、1秒遅れて脂肪の球がついてきた。切り落としたいと思ったこともあった。

ブラジャーは、そういった苦痛を私から取り去った。ワイヤーのついた下着を身につけると、体の外部についた不快付属物が、体にぴったりと固定された。私を冷やかすように追随してくる奇妙な物体のことを、意識することもなく一日を終えることができた。

ブラジャーを洗う。ぬるま湯に洗剤を溶かして洗う。お湯の中で振り洗いをし、バスタオルに包んで水気をきる。ネットの上に平たく置いて干す。カップを潰さないようにクローゼットに入れる。

私の可愛いブラジャー

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