2020-04-10

両親が僕の子供を抱いていることに感動する

子供を持つということと人生幸せは必ずしもリンクしない。だから全ての人が子供を産み育てるべきという論には反対だ。

ただ、僕は今のところ幸せだ。

父が僕の子供を嬉しそうに抱っこしている。

父が僕を授かった頃、男親は今ほど子育てに参加する風潮ではなかったし、仕事の都合で年単位家族と離れて暮らしていたし、そもそも父という人間はそれほど子供が好きではなかったらしい。

乳児の子育てに積極的に関わらなかった、関われなかったことが父にとってある種の喪失感になってると気付いたのは最近のことだ。

口達者な父なのに、母に「子供が小さい頃、貴方は何も手伝ってくれなかった」と愚痴を言われると貝のように黙る。少ししかない子育てエピソードを語る時は嬉しそうだ。「なんだかんだ言っても子供がいて楽しい人生だったよ」と語ってくれたこともあった。

父はもう戻れない過去に憧れているんだろう。それを孫をお風呂に入れながら取り戻しているのかも知れない。

あんなに優しい声の父を見たことがない。

母は本当に僕を愛してくれた。男の僕にとって母親干渉は年頃になるにつれて煩わしくなっていったし、今も顔を合わせると辟易とするけど、母親が僕を大事に思ってくれてる事はいつも感じてる。

その母親が僕の子供をあやしている。僕によく似てると言いながら。

母にとって大家族の中の育児家事は、毎日戦場のようだったろう。子供が最も可愛いとされる乳児期はあっという間に過ぎたはずだ。

母にとっては、そのあっという間に過ぎ去った貴重な時間を、息子に似た孫が再び与えてくれているのかもしれない。

母は今、あの頃の母の顔をしている気がする。

両親は、僕の子供を通してあの頃の僕に出会っている。

僕は自分の子供を通して、あの頃の両親に出会っている。

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