2019-02-06

アイドルを好きになるということ。あらかじめ失われた恋愛

アイドルを好きになったとき、僕たちは同時に失恋している。

僕が自覚的なのはいわゆる「ガチ恋勢」ではないからかもしれないが、これは誰にとっても同じだ。僕たちはあらかじめ失恋している。

ステージ上の彼女たちの笑顔歌声に覚える胸の高鳴り、チェキサインをもらう間わずかに言葉を交わしたときの嬉しさ、次のライブの待ち遠しさ、

どれを取っても紛れもなく恋愛感情といえる。けれど、アイドルファンという関係性が横たわる限り成就することのない感情だ。すなわち僕たちは初めから失恋している。

これは悲しいことのように思えるけれど、僕たちにとっては救いでもある。彼女たちと僕たちの関係性は容易く崩せるものではないのだから、僕たちは誰もが平等片想いしていられる。

もっとも、距離の近さを売りにしている場合には崩れることもありそうだけれど、そこに適応しているファンは「ワンチャンある」ことを織り込み済みで、あるいはそれを狙っているのかもしれない。

彼女たちが文春砲轟沈させられるような行いをしない限りにおいて、恋心を抱き続けることができる。圧倒的な現実を突きつけられてなお、片想いし続けられる自信が今の僕には無い。

これはエゴ押し付けと思う向きもあるだろうけれど、アイドルとして輝くことを望んだ時点で恋愛する自由彼女たちには無い。彼女たちの小さな肩には無数の叶わない片想いがへばりついている。

まるで呪いのようだけど、そのことには自覚的であってほしい。

僕やあなた推しアイドルである責を果たしてステージを降りるその時まで永遠片想いを続けられることを祈るばかりだ。

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