先々月、クリエイティブ系の職を体調を崩し辞めた。
夢を追いかけて就いた仕事だったが、こればかりはどうしようもない。
しばらくは起き上がれないほどだったが、ようやく普通に動けるくらいに健康を取り戻した。
近頃ではリハビリも兼ねて1日4時間元気に寿司をクリエイトしている。
職場の方々は優しく、とても良い環境の中仕事をさせていただいている。
それは、寿司のネタが貧相だったときどうすればいいのかということだ。
シャリにのせるための寿司ネタは、作業がスムーズに進むよう予めカットされている。
仕込みが済んだネタがパックに詰められているのだが、その中の2割くらいがシャリの幅よりも小さいサイズだ。
職場のシステム上、ネタが小さいからといって大きなものに取り替えたりはできない。
ネタの数はしっかりカウントされているため、用意されたネタを使うしかないのだ。
カットしておいてくれるだけで有難いし、魚は部位によって大きさに違いがある。
ネタの一つ一つに差が出てくるのは当たり前だ。
そういった事情も踏まえた上で、やっぱりネタが小さいのが気になる。
課せられている仕事は、食材を寿司として売り出せる形にすることだ。
形になっていればいいのであって、別段クオリティを求められている現場ではない。
しかし、商品として形づくるからには綺麗に見せたいという欲が湧く。
状況と欲求から生じるジレンマに苛まれながら、シャリを出来る限りネタに合わせて縮めることで妥協している。
それでも場合によっては、ネタの脇からシャリが2割くらい見えている一貫が出来上がったりする。
せめてあと数ミリ大きければ。