2018-10-08

僕には彼が眩しかった。

彼は周囲と関係を築くのが上手い。

それもあってか情報収集アンテナが多く、興味の範囲も広いので、なにかとネタが尽きない。

おもしろそうなことがあればよく突っ込むし、

何かやりたいことがあればよく周りを巻き込むし、

そのおかげか、どんどん仲間が増えているように見える。

僕は受け身タイプ人間で、特にやりたいこともないし興味の範囲も狭い。特に話すネタもないから誰かと会話したりするのが苦手。

彼はそんな僕にも話しかけてくれて、一緒にプロジェクトを進めたり、たまには遊びに行ったりもした。

積極的に話しかけてくれて、技術系の話とかアニメの話とか、こういうのやりたいんだよねっていう話とか、いろんな話をしたと思う。

しかし、ある日突然、僕の中に「彼と接するのが面倒くさい」という思いが芽生えてきてしまった。

彼の積極性についていけなかったのだと思う。

なんだか彼と関わることに疲れていて、一人にして欲しいという感情が急激に伸び始めていた。

その頃から僕は彼を嫌うようになった。時には無視をしたり陰口も叩くようになっていた。

そうしているうちに彼は離れていった。ようやく解放された。これから自分のペースで過ごせる。そんな気分だった。

そんな負の感情が落ち着いたあるとき、「そうか、これは嫉妬なんだ」と思うようになった。

僕も彼みたいに人気者になりたい。彼みたいにいろんなことを成し遂げたい。彼みたいに成長したい。彼みたいに………。

僕が陰口を叩いている間にも彼は努力を重ね、ますます能力を伸ばしていた。

陰口はエネルギーが強いから周りを惹きつけやすく、あたか自分が人気者になったかのような錯覚に陥りやすい。でも実際は何も変わらないし、そんなことで増えた仲間なんて長くは続かない。

惨めだった。陰口を叩く暇があったら僕も腕を磨けば良かったのだ。彼を攻撃していたはずなのに、なぜか僕が傷ついていた。

今でも彼は変わらずに、あるいはさらに幅広く活動している。

僕はそんな彼を素直に尊敬している。

僕らが出会った頃の気持ちには戻れないし、戻ろうとも思わないけれど、お互いがお互いのことに興味があったのかな?ってことだけで嬉しかった。

今はそんな気持ちはなく、彼を見て眩しいなーと思う日々である

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん