いつか漫画家になれることを夢見て、貯金をしながら実家で暮らしてきた。
飽きた。
とうとう飽きた。
いくら描いても全く上手くならない絵、枯れていくセンス、底をつくアイデア。
そして意欲。
今までは楽しさエネルギーで10時間働いた後でもへっちゃら。しかも肉体労働。
寝る間を惜しんで漫画を描く。
自由に、好きなものを描いて、それを見せて、反応を貰って喜んでいた。
しかし今。
楽しさはひとかけらもない。
だんだん絵が出来ていく楽しさも、完成したものを見る満足感もない。
そして・・・よく考えたら働いた後に漫画など描けない。とにかく眠い。
情熱が消え去り、残ったのは特技も何もない30手前のおっさん。
恋人も親友もおらず、漫画を言い訳にろくに世界を拓いてこなかった哀れな男がここにいた。
もはや夢も希望もなく、目標もなく、何も目指さないまま死に向かって歩いていく。
それで終わり。
逆転はない。
分かりたくなかった。
俺の今までやってきたことが全て無駄なのだと思いたくなかった。
せめて、普通の人生を・・・家庭を持ち、仕事を持つ、そんな人生を必死こいて目指していたならば・・・
何もかも手遅れだ。
もう終わりだ。
ここで終わり。
アイアムアヒーローでも観たか?
元からセンスないのに"枯れた"とかいってさも「センスの塊でした」なんて書き方するな。心の底ではまだまだセンスあるって思ってる証拠だぞ。やるなら死ぬまでやれ。