親の本棚が子供の読書に影響うんぬんという話が盛り上がっている。
それとはあまり関係ないが、人間の本の趣味というのは大きく変わってくるんだなぁという話。そして再度交われるんだなぁというお話。
自分の父親は歴史ものとかノンフィクションであれば政治、国際情勢の本を昔から読んでいた。
大学に入ると、自分が理工系に進んだこともあり、あまり本の趣味が合わなくなってきた。
たまに実家に帰ったときに父親が「この本面白かったぞ」と紹介してくれるのだが、政治家のルポだったり、アメリカ情勢だったりで読み始めても数分で本を閉じてしまう。
自分は専門分野だけでなく、どちらかというとサイエンス寄りの本を読むことが増えていた。
もちろん一般書で、例を挙げればHONZのサイエンスで紹介されるような本。
昔は父親が勧めてくれた本を面白く感じてたが、いろいろ知ると父とは好みがずれてくるんだなぁ、感慨深いなぁなどと思ってた。
それから10年以上経ち、自分は博士課程まで進んでしまい、その後しばらく働いていると父が倒れた。
入院中で元気をなくしている父にお見舞いする際に、読書が好きだから、なんか本を持って行ってあげようと思った。
父の好きそうな本を持って行ってあげたいが、もう好みはわからない。
仕方ないから自分の手持ちの本の中から、がんばって父にも読みやすそうな本を3冊くらい見繕ってもっていった。
自分が帰った後、母の話によると父は食い入るように本を読んでいたそうだ。
無事手術が終わり、父と話したら、そのときに持って行った菌世界紀行という本が大層お気に入りだったようで、
岩波科学ライブラリーって面白い本いっぱいあるんだなぁ、岩波新書くらいしか読んでなかったよ。退院した後にいっぱい買ったよと笑っていた。
これ電子書籍になったらこういう話ってなくなっちゃうんだろうなあ
kindleを買ってあげたら?