ふと思い出したんだけど、今から数年前、常磐線で通勤してた時、本当に足が浮くようなレベルの満員電車で毎日しんどかった。
その日も後ろの人に押されなだれ込むように電車に詰め込まれて、肩にかけてた鞄が人と人に挟まれ自分と少し離れたところで浮いていた。かろうじて持ち手を握ってたら、腰というかもう下腹部の辺りに硬いものを押しあてられてるのに気づいた。
最初は鞄か何かだと思ってみたら、オッサンがぴったり向き合って密着している状態で、瞬時に察した。
男性のこういうのはコントロールができないみたいな話も聞いていたので、何かこう不可抗力で相手も悪気はないのかもしれない……と思いつつも不快は不快だし、鞄から荷物はみ出そうだし、その内オッサンが電車の揺れとは別に揺れ始めて(?)もう本当に泣きそうな気持になってきた。
そしたら私が変な顔してるのに気づいたのか、近くにいた女子高生が「大丈夫ですか?」とそっと囁いてきた。私はオッサンも近くにいるのになんて返していいかわからず、あいまいな顔して大丈夫~というつもりで頷いた。もしかしたら間違いかもしれんし。
すると女子高生が突如「すみません」と割と大きな声を出して、私とオッサンの間にちょっと強引に割り込んできた。ぐいぐい体を押し込んで、私とオッサンの間に入る。それから私の手をしっかり握って、私の目を見て「大丈夫」と言うようににこっと笑った。私は泣きそうになりながらもう一度頷いた。
まもなく駅について、人がわっと流れ出て、それに流されるよう私も女子高生もホームに吐き出された。一言だけでもちゃんと「ありがとう」と言いたかったのに、その流れに押されて私と女子高生は離れてしまい、彼女は彼女で一度ちらっと私を見て笑った後、人ごみに紛れてわからなくなってしまった。ものすごくかっこよくて勇気のある女子高生だった。もしまた会えたら絶対にお礼にちょっといいケーキを奢りたい。
腰というかもう下腹部の辺りに硬いものを押しあてられてるのに気づいた。 最初は鞄か何かだと思ってみたら、オッサンがぴったり向き合って密着している状態で、瞬時に察した。 ...