大学院に進学した彼女の人生は輝いていた。憧れの研究者の指導を受け、修士課程にして難関国際会議に多数の論文が採択された。留学奨学金を獲得し、北米難関大学博士課程への進学を決めた。同じ研究室の学生と結婚し夫も現地で職を得て、公私ともに充実した彼女の研究者としてのキャリアは順風満帆だった。
難病を患った彼女は、夫と別れ帰国した。若くして教授となった指導教員を追い掛け、国内の博士課程に入学し直した。新進気鋭の若手研究者と再婚し、難病からも立ち直り、彼女の人生は再び輝き始めていた。
彼女には、周囲にへつらい、歓心が得られないと相手の悪口を言いふらし八つ当たりする、そんな性質があった。教授と仲の良い女性助教を目の敵とした彼女は、次第に研究室で孤立した。学会参加中の教授と助教に殺害予告があり、彼女は警察に連行された。そうして彼女は研究の世界から姿を消した。
彼女のようなリケジョは定期的に現れる。一時の輝きで注目を集め、その後いなくなってしまう彼女たち。彼女たちが再び輝く日は来るのだろうか。