人は、何でもかんでもズバズバ切って分けたがる。「裏」と「表」「正義」と「邪悪」「幼卒」と「ホイ卒」そして「兄」と「弟」。
双子は一つのおなかの中で一緒に過ごし、数分差で生まれる。その数分で兄と弟という人生で最初の優劣が付けられ、後の人生でずっとその優劣は付きまとい兄弟に呪いをかける。
思春期になると弟は「たった数分先に生まれただけでお兄ちゃん面すんなよ!まったく。」と不満をぶちまける。兄は「数分でも兄は兄なんだよ」としたり顔。そう、世間一般的に偉いとされるのは兄なのだ。
双子は大体の場合同じ部活を始める。例えばサッカー部。弟のほうはセンス抜群であっという間にエースになり、チームを引っ張る存在になる。一方兄、残念ながらセンスがない。
人々は彼を「お兄ちゃんなのに弟に負けてる人」と認識し、かわいそうねと憐みの目で見る。
私はこんな光景を何度か見たことがあり、そのたびに人々と同じく可哀想だな、なんてなんて思っていた。
しかし、これ、本当はおかしい。兄の方が偉かったり、優秀だったりする(もちろんそうじゃない場合もあるけど)のは、生まれた時間差が何年も違う普通の兄弟に適応される理論であって、生まれた時間差が数分の双子に適応されるのは大間違いなのである。
双子は本来、独立されるべきなのに、兄弟という括りの中に入れられてしまっていて兄弟と同じ扱われ方をしている。
それにしても、双子はあまりにも不憫。必要以上に比べられて必要以上に優劣をつけられる。
一応言っておくと私は双子ではない。