毎日同じ電車の同じ車両に乗るのだけれど、毎回女が化粧している。
ノーメイクで会社に行く私とは違って、電車で装備していくのだ。
勇者は冒険途中に「防具屋」「武器屋」に行ってから「魔王」を倒しに行くが
化粧女は途中で「電車」に乗って仮面を被ってから「戦場」へと赴く。
乗り物に乗りながらの装備とは勇者でもしないだろう。
1つ前の駅から乗ったのか知らないが
ぼさぼさの髪の毛を束ね、前髪をあげてピンでとめた後に
ほんのりと粉くさくなってくる。でも彼女は気にも留めない。
私の鼻炎が原因なのか知らないが、このタイミングでクシャミが2回くらい出る。
アイラインを引くとき、彼女は鼻の下を伸ばして面白いアホ面をする。
私は毎回コレをニヤニヤしながらじっくり眺めてしまう。睨まれるけど。
別の日。その日は雨だった。
たまたま化粧女の隣が空いたので座っていた。
電車が急停車し、勢いに便乗するかのように彼女が持っていたファンデーションが吹っ飛んだ。
私の膝に。
私もスッピンだけど社会人だ。スーツのズボン 足の付け根部分が肌色になってしまった。
私の心も土砂降りになり、会社休もうかと思った。
そそくさと電車を降りてった。
心底ビックリした。なので、ついていった。
飴の日には傘の持ち方、畳み方にも「周りの人への配慮・思いやり」が伺える。
傘の持ち方は後ろに居る人を刺すように持ち
傘を広げる時は横に居る人はどうでも良いように広げる。
人の顔の高さに斜めに持ち上げてクルクルと巻いた。
見事ストーカー化した私は、
そこは、私が就職先にと選んだ1社目のところだった。
行かなくて良かった。