大手ゼネコンでさえ、リストラが横行し、組織の大小、あるいは官民を問わず一斉に採用の門戸を閉じた。
これは、職人不足とも重なっているのだけど、少し違う。
職人の暗黒期は五年遅く始まって、五年遅く終わった。今は空前の職人不足である。
土木技術者とはつまり現場監督であって、職人とは作業員である。
この二つの暗黒期が重なった五年間に日本の土木は大きく衰退し、回復の兆しを見せない。
職人不足に対しては自動で動く土木機械の導入などで場当たり的に対応しているのであるが、各種の法律に従って作成する書類の量が官民ともに膨大なものになっているため、土木の現場代理人や官の土木職員は疲弊している。
典型的な斜陽産業の傾向で、農林業もヤクザも土木も、抱える問題は似ている。
僕だって長く土木の隅っこで飯を食っているから、暗黒期に培った技術が半端に金になるので今更やめづらいのだけど、人生をやり直せるなら土木には入らないと思う。それくらいの閉塞感が土木業界の隅々まで蔓延している。
建築の設計監理をやっているけれど、読んでいてうちも似たような構造だなと思った。