例えば、今週中に銀行と市役所と郵便局に行かなくてはいけないとしよう。この三つは距離も近く間違いなく一日で回ることができる。
しかし母はそれを三日に分けて回る。頭はしっかりしている。体も丈夫だ。なのにこの有様である。この傾向は最近出てきたようだ。
そして先日、その答えがわかった。どうやら母はわざと予定を小出しに消化していたようだ。
理由はごく単純で、何もすることがないと一日家で掃除と洗濯とテレビを見るくらいしかないからつまらないらしい。
なのでわざと非効率的に外に出る機会を作っているとのことだった。
さらにもう一つ、一日五つ予定があって残りの日はさっぱりというよりは、毎日一つ予定があったほうが楽しいとも言っていた。
なるほど。よくわかる気がする。
「テレビ見てるのが退屈なら新しいことを精力的に始めろ」というのは若者の勝手な意見だろう。
リア充と言われる人たちの中には無理やり予定を詰める人がいるらしい。今週は飲み会、来週はバーベキュー、再来週は友達の舞台……
彼らは予定のない日の退屈さと寂しさを恐れ日々出来事を作ろうとしている。
若者はその若さにまかせて新しい予定をどんどんと生み出している。
母は今ある予定をわざと小刻みにしている。
「人間とは退屈が我慢できない動物である」みたいな名言を見たことがある。 ロシュフコーだったかな