2016-11-19

大人になった。傷が残らなくなった。

今年30歳になる。

子供の頃は、すごく精神的に傷つきやすかったと思う。

ちょっとした傷でも棘のようにいつまでもちくちくして、いつまでもしかった。

自分が傷ついたのではなくても、誰かが悔しい思いをしていたり、寒そうだったり、ひもじそうだったりするとすごくつらかった。

うちは、両親の躾が結構厳しい家庭だった。色々なルールにがんじがらめになって、不自由な思いをすることも多かった。

そのせいで、いらない傷もできたと思う。

しかし、当時はそれが少し誇らしくもあった。

子供ながらに矜持というものがあり、自分ダメな奴だが根本的には正しいのだとよくわからない理由で胸をはっていた。

大人になって、子供の頃とは違うストレスが増えた。

昨日なんか、仕事で「偽善者」みたいなことを言われた。

こちらの言い分もあったのだけど、相手の言うことにも正当性があった。

からほとんど黙っていた。

そのときは、自分が嫌になったし、うまく意思の疎通ができなくて悔しかった。悲しかった。

けれど、一晩寝たらなんとも思わなくなっていた。

そういうことあったな、昨日。そういう感じだ。

となりのトトロで、メイちゃんがトトロを追いかけていって、森の中に入っていって

トトロの隠れ家みたいなところに転がり込むシーンがあったと思うのだけれど、

自分が今感じている感覚は、メイちゃんがぽっかり穴みたいにあいた空を眺めている感じに近い。


例えば、自分が何か膜のようなものに覆われていて、現実のぞきから見ているような。

あるいは、現実から逃げてきて、半透明の無菌室のような場所で浮遊しているような。

そういう感じだ。意味不明だったらすまない。

ストレス医者にかかったり、死んだりしている人もいるなかで、

この膜をいつのまにか獲得していた自分幸福なのかもしれない。


しかし、子供の頃の自分の胸をふくらましてくれていたあの誇りは、もうない。

つのまにか、すごく汚い自分になってしまったような気がする。

悲しい。


でも、明日になったら、この悲しみも、それを吐露したこの文章にも

「そういうことあったな、そういや」

ってなるだけなんだろう。

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