新海作品は一通り見てきたから、冒頭のCG合成したキラキラ空から、時空越え、引き戸カット、不思議なメール(アプリ)と「新海誠の引き出しってこれしかないのかな」って心配になりつつも、
辻褄が合わないとか性差別的とか釣針モロバレとか野暮なことは呑み込んで、それなりにキュンキュンしながら見てたんだけど、
夕焼けバックでめっちゃ綺麗な初対面シーンなのに「まだやることがある!」とか言った瞬間に冷めた。
"ある日男女が入れ替わる"だけなら「何かの偶然が重なってひょっとしたらあるかも」だけど、
"その2人が時空も超えてて、協力して歴史を変える!"までになると「そんな偶然とご都合主義はどんな並行宇宙にもありえんだろ」と。
安い正義感なんて混ぜず、思春期らしく「人命より私たちの恋の方が価値がある」とか思い込んでたらついでに村も救ってた、ならまだ良かったのに。
なぜかキーパーソンに祭り上げられてる頑固な村長を説得するくだりとか、爆破やら放送ジャックやらの犯罪行為を描写する時間で、もっと普通の日常を紐解いてたら「いつかどこかでありえたかもしれない神秘」感も高まっただろうに。
言ってしまえば「秒速5センチメートル」が良かった。
わかりやすいヤマがない、オチもハッピーじゃない、イミがあったかもわからない。
でも日常ってそういうもんだし、だから感情移入できて、そういう日常をがんばろう、と思える。
「君の名は。」を楽しく観れた人が「俺もどこかの女子高生と入れ替わらないかな」って言うけど、さすがに「入れ替わったら俺も村救うんだ!」って思わないよね?