――スネ夫のことがお好きだと聞いたんですが、どういうところが…
「スネ夫?なんですかいきなり」
――○○さんと△△さん(共通の知人)に聞いたんですけど…
「ああ…。いや好きだとかそういうことじゃなくてね、あの人たちに言ってたのはそういうことじゃなくて」
――好きじゃないんですか
「伝わってなかったかもしれないけれど、スネ夫の気持ちがちょっと想像できる、そんなことを話の流れで言ったことはあります。けっこう前ですよ」
――性格とか境遇とかが似ているんですか
「うーん。別に僕はお金持ちの家に育ったわけでもイヤミなわけでもないんですが、境遇といえば境遇か、ちょっとした境遇が似ているので」
――具体的には
「具体的にって…。いや、ほかのだれかにわざわざ言うような話ではなくて」
――聞きたーい。スネ夫のどういうところですか?
「(苦笑)コミックにちょっとだけでてくる話なんですけど、実はスネ夫には弟がいるんです」
――スネツグですね!
「名前は別にどうでもいいんですが……」
――外国に養子に出されたという設定の
「……ええ。いや、こっちは設定とかじゃなくてリアルな話なんです」
――弟さんが?
「2つ違いのが。話には聞いていたんですが、生まれてすぐに出されてたので実感がなくて。物心ついてからはじめて実際に会うということになったのが小5のとき」
――それまでは写真とか?
「いや、何も。だから一人っ子として育ったようなもので。周りの友達も一人っ子ばっかりだし、兄とか弟とかイメージが全然浮かばないまま会ったんですよ」
――そんなもんですか
「そんなもんです(苦笑)けっきょく兄らしいふるまいどころかまともに話せないままで。あとになって向こうは本当に楽しみにしていたと聞いて余計に罪悪感がね」
――あの、スネ夫の話は
「うん、その少しあとに友達の家のコミックを読んでいたら弟がやってくる話があって、わかるわー、と」
――気持ちがわかった?
「なんかね、本当はお兄ちゃんなんだという気持ちだけが先走って、でも実態はなんにもできないんです。孤独なわけですよ。そのすきまを埋めようと人とのつながりを間違いないものにしてるんじゃないかと。人寂しさの裏腹の気負い、それがふだんのスネ夫があんなである理由かなと」
――スネ夫をちょっとだけわかった気になったと
「(苦笑)なんで僕スネ夫の話ばっかり聞かれてるの。まあ自分の似たような至らない部分をスネ夫を通じて見ることで、小5のそのへんからちょっとだけ許せるようになったかな」
――ちなみにドラえもんで好きなキャラクターは何ですか」
「ドラえもん」
――スネ夫じゃなくて、ドラちゃん?
「うん、ドラちゃん(笑)」
この日のためにスネ夫のWikipediaを丸暗記したとあとで言ったら1分ぐらい笑ってた。最後までスネツグの設定は後付けだぞ!とは言えなかったけど。