2016-05-28

彼女が欲しい。

クライアント先で、とある新作映画チケットを2枚貰った。これが普通の男なら、“お誘い”をかける女性の一人や二人を思い浮かべることだろう。僕もチケットを「ありがとうございます」と言いつつ受け取りながら、誰とこの映画を観に行こうか頭の中で考えていた。

まりにも思い浮かばず、思考を諦めた。諦めたというより、逃げたという表現が正しいかもしれない。そりゃあ、この数年女性デートなんてことをしていないので、当たり前といえば当たり前かもしれない。とはいえ、誰か一人くらいはいるだろう。そう思いもう一度改めて考えてみたが、やはり一人も浮かばなかった。

中学生でも出来る「映画に誘う」というデート方法しかも、「チケット貰ったんだけどさぁ、余らせちゃうの勿体無いから……一緒に行かない?」という、“誘える理由”も僕にはある。過去自分がもしこの状況だったら、あの娘を誘っただろうな。そんな思いを巡らせながら、いつものようにインスタグラムを惰性でチェックしていると、3年前に恋人だった女性写真を見つけた。紫色の髪の毛、ボロボロTシャツ、派手なメイク。僕の恋人だった頃の面影はそこにはなかったが、すぐに「あの娘だ」と理解した。

家に帰って、自分の姿を鏡で見てみた。少し髪が薄くなったかもしれないが、ほとんど変わっていないだろう自分がそこに写っていた。僕は、瞬時に理解した。今日までの僕は、新しいことも昔のことも、どちらも考えないように、そして逃げていたんだ、と。

ちょっと新しい道を歩いてみようかな。3年前から、1歩進んでみよう」と、前向きに生きられる気がした。まぁでも、とりあえず溜まっている仕事を片付けてからかな。

そんなことを思った、初夏の金曜日の夜。

  • 新しいことに足を踏み入れるという耳障りの良い大義名分で 本当にやらねばならない別の負担から逃げてはダメだよ。 人間、こと恋愛に関心があるときは、必ず何か目を背けたい現実...

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