2016-05-12

スネークハンター

ここ数年、実家付近マムシの出没が増えているらしい。幸い、実際に誰かが噛まれたという被害はまだないそうだが。

ジョウレンやカマを装備したじーさんばーさんの咄嗟戦闘力と躊躇のなさは意外とすごい。いわんや草刈り機をや。

しかし、溝掃除ときなどには、以前は滅多に遭遇しなかったのに最近は毎回のようにマムシが出没するのだそうだ。

聞けば、長老たちは口をそろえて「タケさんが亡くなったからかねー」というのだという。

タケさんとは、山から村に農業用水をおろしてくる小川沿いに住んでいた老人だそうで、毎日川沿いを散歩するのが日課だったそうだ。

そしてその際、目ざとくマムシ発見しては二枚におろすというのを、もう一つのライフワークにしていたらしい。

幼いころ、一度だけ、犬の散歩中にタケさんらしき爺様が不意にしゃがんだかと思ったら、立ち上がるのと同時にマムシをカマで引き裂いているのを見たことがある。

その動きは一切の迷いを感じさせず、それはもう鮮やかの一言であった。でも犬にまだちょっと動いてるヘビ肉食わせようとするのは色々不安になるからやめてほしい。

私が連れていた犬が食べない(えらい)とみると、爺様は無造作に二枚におろされたヘビをあぜ道に放り出していた。恐らくあれはカラスかトビの晩飯になったのだろう。

シーズン中の雨が降った翌日なんかにはたくさん流されてくるらしく、日に20匹近いマムシ干物になったこともあるという。

想像するに、山から里へ蛇がやってくる大きなルートがその川および川沿いであったのだろうが、

そこを門番のように長年守り続けていたのがタケさんという存在だったのだろう。ゲートキーパータケ。

そのタケさんが数年前に亡くなって、当然ながら後継者も現れなかったため、

から川伝いに里へ流れてきたマムシたちは駆除されることなく里で繁殖し、村人の目につく機会が増えたのではないかということである

一人で自然と人のパランスに影響を与えるほどマムシを狩りまくる存在というのもなかなかイレギュラーな気はするが、

こうやって段々人の手から離れた部分が増えて、田舎自然に還っていくのであろうか、などと思わされた話だった。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん