普段は、とても朗らかでよく笑い、明るい人柄の父親ががらっと変貌してしまう。
母親に一切の否がないとは言い切れない。お互い、いい大人なのだから、譲れない部分もあってのことなのだろう。
けれど、男と女の力の差なんてはっきりしているのに。
最近ある程度の稼ぎができて、思うようになった。
「父親ももう還暦過ぎ。生まれ故郷に帰ってゆっくりすればいいのに」と。
家庭環境は少し複雑で、母親と父親は入籍していない。同居はしているが、住民票は別々。言ってしまえば、他人なのだ。
本人はまだまだ働き続ける気でいるのだから、言えるわけもない。しかし、父親の収入はほとんどないに等しい。前妻に慰謝料を払い続けているからだ。
私の自分勝手な考えなのか、父親のことを考えてなのか、半々くらいかなあ。
年金をもらえるような身分ではない父親である上、毎月払っている慰謝料はたとえ年金が貰えたとしてもそれだけでは賄えない額。
近々、姉が一人暮らしを始める。
金銭面で頼りにしていた姉という大きな存在。
今まで、両親の喧嘩を止めてくれていた、姉の旦那も、当然居なくなる。
私一人になった時、両親の仲裁をできるだろうか。きっと無理だ。子が親の間に割って入ったところで、なんの意味も持たないだろう。しょせん子供なのだから。
ついこの間、仕事から帰ると、リビングにズボンが干してあった。
スマートフォンの使い方も、ようやく覚えてきたとのこと。
この父親は、一人では何もできないけれど、人と居るとつい気が大きくなり、酒を飲み、暴力的になる。
前妻といつ別れたのかか知らないが、収入が消えてしまうような額を払い続けても完済できない慰謝料って意味不明。前妻との間の子どもの養育費ならそれなりの額になるかもしれない...
実際は慰謝料なんて払っておらず父が自分で使い込んでる可能性も。