とはいえAは強制送還された後、強制労働を強いられていたわけではない。
15年程前、彼が実家にもどって3年ぐらいの時に会った時は
「なぁに、気楽なもんさ。家賃の取り立てとガス器具の修理手配などをやっていればいいのだ……。」
と、自分を弁護するように話してくれた。
『いや、それがどうも地下アイドルにはまったらしく』
ちなみに2次元以外は興味なかった男だったので驚いた。
『そういうのがいてるのよ。で、あるアイドルに傾倒した結果、
相当貢いでいることが分かり、親族から縁を来られ、禁治産者になったそうだ。』
なんでも、駐車場を勝手に処分したらしく、それが父親の怒りをかったらしい。
「それは大変だったろうねぇ、で、Aは何しているの?」
『そのアイドルにも会えなくなったことで絶望して、今、精神病院の隔離病棟に収容されてるよ。』
アイドルは時に希望も与えるが、場合によっては絶望も与えるんだな……と複雑な思いをビールで流し込んだ。
『あいつの弟、ほら帝大出て弁護士だろ?厄介払いしたんじゃないのかなー。弟ちゃん、結婚するらしいから。』
「ああ、そういうことね。」
すまん。ヒントは多いんだけれども原作が何かまでは特定できなかった。「それから」じゃあないんだよな?