「マニュアルでできる仕事をしてる人」を馬鹿だとか頭悪いとか言ってないんだけどな。
俺の友人にも、ある分野でかなりの才能を発揮してる人間がいるんだけど、そいつのやってることは金にならない。なので食い扶持を稼ぐ手段と割り切ってマニュアル仕事をしてる。決められた時間、割り当てられた仕事をやれば、決まった報酬が得られる。それは大きなメリットだ。さらにマニュアル化されて替えが効く仕事だと、やりたい方面が忙しくなったときに代わりを探しやすい。
スペクトルの逆には、時間で単純に賃金が払われるのではなく、その人なりの創意工夫した創造物だとか、その人だけが持つスキルやノウハウに対して金が払われるという種類の仕事もある。あくまで程度問題なんで白か黒かじゃないけれど、仕事の性質がそちらに寄るほど、名目上の勤務時間の外でも仕事のことを考えてスキルを磨くだとかが求められる。一般に名目上の報酬は高いけど、その業務をこなすために必要だった時間を全部足すとそうでもない。
結局、仕事のベクトルと人生のベクトルの角度をどのくらいに取るかって話で、それは人それぞれなんだから、「こっちの仕事をやってるから頭悪い」ってことはない。
頭悪いのは、自分が何でそういう種類の仕事を選んでるか自覚せずにやることだ。自分のキャリアのためにやらなくちゃならないことを放ったらかして前者の仕事にどっぷりはまっちゃうとか、本当にやりたいことが別にあるのに「仕事で自己実現だ!」って言葉に載せられてたいしてやりたくもないのに後者の仕事を選んじゃうとか。
大元の話題に戻れば、あなたが大学に行ってる大元の目的と、時間を切り売りする形の仕事は、マッチしてるんですか、っていうことになる。それは、高い金出して買ってる時間を安く売ってることになってませんか、ってこと。もちろん人は何からだって学べるから、時間を切り売りする仕事だって、別の目的を持ってやるなら有意義かもしれない。あなたが色んなことを学んだのなら、それは有意義だったんだろう。マニュアル化された仕事というのは本来の性質からして時間を切り売りする仕事である、ってことを押さえた上で、売った分より多く取り返すつもりでやるならいいんじゃないかな。
それと、替えの効くマニュアル化された仕事なのに「仕事で自己実現を!」とか言って正規の勤務時間外も仕事に頭使わせようとする企業が横行してるらしいんで、大学生諸君はそういうのには騙されないようにしてほしいなり。何に対して賃金をもらってるのかをきちんと自覚できたら、バイトした意味もあるというものだ。