2012-01-21

咀嚼音が聞こえる飲み会にて。

文芸部を、大学3年の夏に退部した。


私の大学文芸部は強豪や有名とは程遠い。

年数回、小説製本してはいものの、

おたく仲間を探しに入部した部員ほとんどだ。

部室は日々マンガアニメ小説の話題で溢れていた。

何のアニメが、このマンガが、と部員は常に自分世界に入って語る。

有名なものしか知らない私にはついて行けなかった。

大学学部など共通の話題をふっても、結局また私の知らない小説マンガで盛り上がる。

自分言葉表現出来ないが、心に何か嫌な気分がこの時芽生えた。

何も変わらないまま、秋が来た。卒業生が来て飲み会を行う行事がうちにあった。


飲み会担当の先輩により、会中におたく話が禁忌となった。

みっともないから、だそうだ。

同意だ。

大学生にもなって、卒業生が来る飲み会サブカルチャーだけの話題しかできないのは情けない。

会が始まった。

葬式のようだった。

乾杯以降、聞こえるのは皿を置く音、咀嚼の音、注文のピンポーン。

常に自分世界趣味しか話せない人間趣味をとったら何もない。

驚いたのは、会中にポケモンをし始めたり、

ワンセグを見始めたりする人間もいたことだ。


私はこのような人間になりたくない。

こんな人間味のない人間ではない。


入部当初芽生えた気持ちを、その時やっと形容する事ができた。

私なりに、話を続けようと頑張った。大学の話や今と昔の部活など、身近のものから、悩み、夢、恋愛話など。

コミュ力が無い私だが、お酒の力もあって驚くほどに話す事ができた。

一生懸命話したら、相手も乗ってくれて、話をしてくれた。

卒業生と個人的に遊びにいく、という仲になった。

少なくとも私のテーブルは盛り上がったと思う。



また、同時に私はこの文芸部に見切りを付けた。

趣味しか話せない人間が、小説で何を書けるのか。

目の前にいる人すら退屈させる人間が、読者を楽しませられるか。

所詮このような人間は、どこかで聞いたようなセリフを切り貼りした小説しか書けないと思う。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん