2017-08-17

[] #33-5「結婚はゴールじゃない!?

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答えにたどり着いた俺はその喜びを分かち合おうと、まずは母さんにそれを話した。

「……って、結論になったんだよ」

「相変わらずの知的好奇心

母さんの反応は感心半分、呆れ半分といったところだ。

俺にとってはかなりの大発見なのだが、思いのほか薄い反応に肩透かしを食らった。

「という割に反応薄いね

「いいえ、側面的には意義があることだと思っているけどね」

引っかかる言い方だなあ。

もしかして本当のゴールを知ってるの?」

「知っているというか、そもそもゴールがあるかも疑わしいから」

ドッペルが言っていたことだ。

だが、その結論では俺は満足できない。

「或いは複数あるのかもしれない」

なんじゃそりゃ。

「いわゆる“人それぞれ”って奴よ」

「え~、その結論は嫌いだなあ」

『人それぞれ』ってのは便利な言葉だ。

けど、それは何も考えていないことを宣言するのと紙一重言葉でもある。

なので俺はその結論簡単に持ち出すことが嫌いなんだ。

「そうは言ってもねえ。人によって違う場所や方向を進んでいるし、その臨み方だって違うんだから、ゴールの設け方だって変わるわよ」

「じゃあ、結婚はゴールって可能性もあるの?」

「まあ……例えば『婚活』という枠組みで考えるなら、結婚をゴール地点に設けることは理屈の上では妥当でしょう」

ちぇ、なんだよ~、最初にそういう言い方してくれれば、こんなに無駄なことしなくて済んだのに~。

「前提そのものあやふやでロクに共有されていないものだし、普遍的な答えは出ないでしょ」

「じゃあ、結婚はゴールだっていうのも間違っていないってこと?」

「正解でもないけど、間違ってもいないかな」

「そういう文言、煙に巻かれているみたいで嫌だなあ」

だって問題本質はそこにはないもの。いずれにしろ他人の設けたゴールを腐したりしないことが大事ってこと」

あ……と声が漏れる。

母さんの言葉で俺は確信してしまった。

あのジョウって人、それっぽいこと並べてただけで、やっぱり大してモノを考えてなかったんだ。

それに乗せられて、必死に探そうとしていた俺も大概なんだけど。

なんというか、とても疲れた


結局、今回の捜索で何がゴールか、ズバリと言えるものは見つからなかった。

けど、その道筋がどう出来ているかってことは少しだけ分かった。

もしゴールがあっても、そこにたどり着けるかは分からない。

でも、人はそこに向かって進むことで人生謳歌しているんだ。

あの結婚式での新郎新婦だったり、課題の提出期限のために頑張る兄貴だってそうなんだろう。

たぶん、俺にだってある。

それが他の人とは同じなのか、違うものなのかは知らない。

けど自分のゴールが何であれ、走ることを応援したり、ゴールを祝福することはできるんだ。

「それはそれ、これはこれ」ってこと。

あ、このセリフも大概便利だな。

(#33-おわり)
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