2024-07-14

漫画小説におけるトリレンマ

ブロックチェーントリレンマ表現する数式を発見―性能・安全性・分権性のうち2つだけが成立することを立証 https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2024-07-04

を見て思ったんだけど、漫画小説にもこの種のトリレンマがある気がしてきた。

漫画小説面白さの要素として、心理描写(思考合理性含む)、緻密な世界観ストーリー進行を挙げる。ここでのトリンレンマにおいても、この中での2つまでしか満たすことができないという仮説だ。

具体例を挙げる。

世界観ストーリー進行型:ワンピースコナンハリーポッター進撃の巨人

世界観心理描写型:ハンターハンター村上春樹小説魔法少女まどかマギカ

心理描写ストーリー進行型:ピンポン

世界観ストーリー進行にまず焦点を当て先に大枠を作ってしまうと、辻褄を合わせるために人物心理面や思考面の造形が不十分になる。

一方で世界観人物思考だけ決めて、初期条件だけ決めてシミュレーションするように人物を動かしてストーリーを作る方法もある。こうすると、自然な積み上げになるが特に村上春樹のようにストーリーとして面白いかはかなりぶれが生じる。ハンターハンターストーリーとしても面白くなるようにチューニングしている一方、そのせいで作者は制作に異常なほどの労力が必要になっていると考えられる。

緻密な世界観を捨て、心理描写ストーリー展開に焦点を当てると、面白い展開と自然思考が得られやすくなる。ただこの世界真相はこうだった、というSFミステリーでよくある面白ギミックはない。

まとめ

ストーリー進行ありきではめ込んで行く作り方か、人物造形を決めた上でシミュレーションして作品を作る方法があり、両者は作品として大きく異なる。

また、世界観の緻密さや複雑さをある程度犠牲にした場合心理面とストーリーが高度な作品を作りやすくなる。

  • 初期ワンピナルトブリーチとまどマギはすべて満たしてるので気のせいですね。

    • ワンピース、ブリーチ、ナルト:世界観、ストーリーありきで人物の造形が不自然(世界観、ストーリー進行型) 呪術廻戦: アドリブ、良く言えばシミュレーションしながら作っているので...

  • >この世界の真相はこうだった、というSFやミステリーでよくある面白いギミック これってストーリー展開の問題で必ずしも緻密な世界観とは限らないと思うけどなあ

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