「retard」の語源はラテン語の「retardare」に遡る。この言葉は16世紀頃から英語で使用され始め、
当初は「遅らせる」「遅延させる」といった一般的な動作や状態を表す動詞として用いられていた。
19世紀後半から20世紀前半にかけて、「retard」は医学や教育の分野で「mental retardation」(精神遅滞)
という専門用語として使用されるようになった。しかし、1960年代頃から状況が変化し始める。
「retard」や「retarded」に侮蔑的な意味を持たせて使用する人々が増加したのだ。
このような使用法の広がりにより、1980年代以降には「retard」とその派生語が差別的表現とみなされ、
公の場で使用することが適切でなくなった。
しかしながら、現代でも「retard」は特定の専門分野で元来の意味で使用されている。例えば、
航空業界では着陸時の機首上げ直前に「減速する」という意味で使われ、自動音声システムがそのタイミングを知らせているのである。
YouTubeで飛行機の着陸シーンが誤ってBANされた事例があったが、これはAIが「retard」という言葉を不適切なものとして検知したためと考えられる。