漫画、ハチミツとクローバーの竹本がクリスマスを前に「この空気感、椅子取りゲームのようで苦手だ」という。
次々とカップルを組み、幸福になるさまを見ていると焦り、自分も早く座って落ち着きたいという心理の現れだ。
竹本というキャラクターは母親が看護師の母子家庭に生まれた。孤独と貧困が常に付き纏っていた。父は幼少期に病気で亡くしており、彼を語る上でこの背景は退けない。
しかし私は彼の「椅子取りゲーム」という発言には疑問を呈する。
どちらかと言えばバンジージャンプが近い。
人生では命綱となる紐が何本も用意されている。仕事、健康、貯金、母、父、兄弟、祖父母、友人、資格。
それらが、経年劣化でどんどん摩耗して切れていく。ある時は祖父母という頼りが切れる。ある時は、健康に難が生まれる。
しかしこの綱は増やす事も出来る。例えば環境が変わり友人が増えれば、綱は頑丈になる。細く見えた糸も状況によっては、より強固になる。
あらゆる紐が切れた時、人間は宙ぶらりんとなり寄る辺を失い落下する。