ネットでは「いいね」が可視化され、現実では声のトーンや目つきから相手の評価が流れ込んでくる。
鬱陶しい。
人の一挙手一投足をいちいち値踏みしようとするな。
していたとしてもそれを本人にぶつけてくるな。
そうじゃない場所がもうどこにもないんだ。
テレビゲームの世界だってもうすっかり正解が選べたかどうかをスコアで見せるのが主流になった。
見える化は成長には便利だが、見えることに疲れた人間の行き先は失われた。
本を読もうが映画を見ようが「君はこの引用元を知っているかな?君は前の項目でやった内容を覚えているかな?」と責め立てられる。
聖書や歴史を暗記しきれてないやつ、キャラクターの名前を覚えられないやつ、毎日努力ができないやつ、そんな奴らはうちのコンテンツには向かないよと遠ざける。
タバコは喉を試し、酒は臓器機能を求め、よりハードなドラッグは脳の耐久力を要求する。
気持ちよく寝るためには気持ちよく運動をしてストレスなく暮らさなきゃいけないし、舌バカは高い金払っても違いがよく分からない。
同時にコッチも「寿命までの残り時間を無駄にしたくない」という焦りから多くのものを値踏みしてしまう。
疲れた……