2022-12-05

VARの基本的な考え方を書いておくよ

スペイン戦のVAR判定があいかわらず燻っているが、VAR判定の基本的な考え方が(当たり前だが)サッカーファン以外の層に浸透していないことが分かったので、ここで一筆書いておく。

VARが介入し得るシーン

以下5つ。

得点かどうか

PKかどうか

・退場かどうか

・人違いかどうか

・ほか、主審確認できなかった重大な事象主審が見えないところで選手を殴った、などが該当)

VAR介入基準:「はっきりとした明白な間違いがあるかどうか」

これがサッカーファンの間でも意外と浸透していない。主審が下した判定に対する「はっきりとした明白な間違い」を指摘するのがVARであるのだが、単純に白黒つけると解釈している人が多い。

世界的な統一基準なので日本サッカー協会解説ページを読んでおくとよいだろう。https://www.jfa.jp/referee/news/00024523/

スペイン戦のゴールが認められた理由

以下2つ。

(1)三笘のクロスの時点でボールが外に出たという判定を主審副審が下していない

主審ゴールキックの笛を吹いてないし、副審ボールが外に出たと言う判定を下していない(下していたら旗をまっすぐ前に出すが、副審はそれをしていない)。つまりゴールまでインプレーだったと判定している。これが重要だった。

(2)ボールが外に出たという明白な証拠が得られなかった

そのため、VARは「ボールが外に出ていた、という明白な証拠を探す」ことが今回の役割となる。結果、散々出ている画像の通り、外に出ているという明白な証拠は得られなかった。だから最終的にゴールが認められた。

仮に、主審副審のどちらかが「外に出た」判定をしていたらゴールは認められていたか

ゴールは認められなかった可能性が高い。

この場合は「ボールちょっとでも中に残っているか」を探すことになるが、今回のようなシーンで「はい、2mm弱入っているので明白な間違い」とは言いづらいだろう。それほど微妙な判定であったのだ。

このような、きわめて微妙な判定の場合主審判断がVARで覆ることは基本的にない。「はっきりとした明白な間違い」であることをVARも指摘できないからだ。

例外オフサイドで、「オフサイドディレイ」という形で主審副審判断を避けることが認められている。この場合は1ミリでも出ているかどうかというファクトでVARが最終判断を下す。

VARは「はっきりとした明白な間違いを正す」のが役割であり、微妙な判定に白黒つけるものではない、ということは覚えておいた方が良い。逆に言えば微妙な判定については主審裁量でどちらにでも転び、それを正すことは難しいというのがVARの問題点でもある。

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