2021-04-26

ミジンコはたった4個体を起源とする北米からの帰化種だった

ちょっと昔のだけど。面白いね。

ミジンコ(Daphnia pulex:写真)が、有性生殖能力を失い雌だけで世代を維持していること、遺伝多様性が極めて乏しくたった4タイプ遺伝子型(クローン個体しか分布していないこと、それらすべてが別のミジンコ種との雑種であること、在来種ではなく北米から侵入した外来種であることを明らかにしました。

北米には突然変異で生じた有性生殖能力を失った絶対単為生殖型のミジンコが生息し、北米大陸で分布を広げていることがわかっています絶対単為生殖型のミジンコは雄を産むことが出来、この雄が有性生殖を行う循環単為生殖型のミジンコ交尾すると1:1の頻度で絶対単為生殖ミジンコが生まれます。すなわち、有性生殖を行わない絶対単為生殖型の雌からまれた雄が、有性生殖を行う循環単為生殖型のミジンコ絶対単為生殖型へと変えていると考えられています。雌だけで繁殖する集団が、雄による遺伝形質の伝搬によって造られて行くのはなんとも皮肉です。

日本に広く生息しているミジンコの多くは、700〜3000年前に日本移入したたった2個体の直系子孫であると言う事ができます

絶対単為生殖型の生物は、交尾による遺伝子組み換えがないので、有害突然変異が蓄積したり病気感染やすいなどの理由でいずれ絶滅すると考えられています絶対単為生殖ミジンコいくら雄を産んでも、日本にはそれを受け入れる有性生殖を行うミジンコ(D. pulex)はいません。もし、新たな移入個体がなければ、ミジンコ日本からやがて消えてしまうことになるでしょう。

https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20150407_01web.pdf

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