「あと一歩のところで間に合わなかった」
こんな失敗談はたまに目にしていたが、よもや私がそうなろうとは。
しかしスッキリ出し切って、ウォシュレットで肛門の奥まで綺麗にしていたから大丈夫だと思っていた。
「じゃあこれから出掛けた先で済ませよう」
…この判断が不味かった。
車に乗り込み10分ぐらいしてから、腹の調子がすこぶる悪くなった。
「これは…まずい!」
既に肛門アラートは発動されていたが、視界にトイレがありそうな場所はない。見渡す限りの田畑である。
もう5分ほど進めば道の駅がある、そこまで行けば…そこまで待ってくれ便意、保ってくれ肛門。
迅速に、しかし制限速度を守って着いた道の駅。駐車場に車を駐め、鍵をロックする。ぶりっ
しかし大腸に潜んでいたのはどろどろの液状となった下痢便、肛門を引き締めても漏れてしまった。
おい、嘘だろ、引き締めろ。そう力を込めると逆に踏ん張るような力み具合になってまた漏れてしまいそう。
あわあわあわ慌てるな、まだ少し出ただけ、拭えばまだパンツには到達していないはずだ。
爪先立ちになって堪えながらトイレに向かう。ぶりっ。慌てるなぶりっ。トイレはぶりっもうすぐだ。
ほら個室にぶりったどり着いた。さあ便座の蓋をぶりぶりっ。嘘だろぶりっ。開けてぶりぶりっ。ズボンをおろぶりぶりっ。パンツをおろしぶりぶりぶりぶりぶりうあああぶりぶりぶりぶりぶり
あーあ。間に合わなかったよ。もう便座に座るだけだったんだぜ。マジかよ。
しかし臭えな、俺なんか変なもん食ったか。液体状で表面積が高まって臭い出やすくなってんのか。
とりあえず腹の中に残っていた便を残らず出し切り、ズボンに付いた便を拭き取る。
車の中にコンビニの袋があったのでパンツはそこに押し込んで捨てる。
家に引き返しパンツの入った袋を捨て、ズボンは洗剤を入念に染み込ませて洗濯機へ。