「ドラえもん、のび太の小宇宙戦争」(以下リトルスターウォーズと呼ぶ)は大長編作品の中でも屈指の名作だと思っていた(旧鉄人兵団には劣るが)。軍事独裁政権に立ち向かうというテーマがまず良いし、何より主題歌「少年期」は名曲中の名曲だ。雲の王国もそうだが、主題歌が良いと名作に思えてくる。
今でも好きか嫌いかで言えば好きなのだが、ただ真面目に観てみると突っ込みどころが多すぎてイライラするのである。
ピリカ星人より地球人のほうが圧倒的に強いのだからパピくんはもっとのび太たちを頼ればよかったし、ドラコルルがまったく地球人に対し慎重にならずスネ夫たちを襲撃するのも不自然だ。あの襲撃の流れで出来杉くんがフェードアウトするのも不自然だし、何より体のサイズというメリットを自分から手放す意味が分からない。ピシアの探査球への警戒も足りないし、わざわざ挑発するのも相手を嘗めすぎている。いや嘗め切っても全く構わない相手ではあるが、そのせいで殺される寸前にまで行ったのだから弁護の余地はない。
スモールライト奪われた段階ですぐドラミちゃんに連絡しろよとか、ビッグライトなり使えよとか利用すべきカードを切らないのはドラえもんだから仕方ないとしても、あまりにも墓穴を掘りすぎている。
自由同盟の地下組織に行く際が最たるもので、まずのび太のような足手まといを連れていくのが失敗の元だし、ロコロコ以外にもっとマシな案内役いないのかとも思うし、のび太を見捨てなかったせいでアジトを突き止められたうえ、見られた可能性があるのにそれを組織の人々に告げずピシアに急襲されるにいたっては戦犯以外の何物でもない。
使うべき道具を使わないのは大長編では仕方ないとしてもそれ以前の利敵行為ばかりやっているので見ていてイライラする。それでもストーリー展開とテーマ性と主題歌が良いから名作には変わりないが、これほどドラえもんたちが失点ばかり積み重ねた作品も無い。
まあそうなんだけど、実はあそこでのび太がドジ踏んでアジトが急襲されなかったら、スネ夫としずちゃんは高確率で死んでるんだよね。 小惑星基地をギルモアが襲撃しないと、2人はピ...