死にたいと言える場がなくなった
---
Twitterのメインのアカウントでは言えないことを呟く、いわゆる「裏垢」を持っていた。
ムカつくことを言われたりツイートで言及された時、彼女と険悪になった時、作った作品がなかなか評価されない時、就活で落ちた時、鬱になったら決まって裏垢で吐露した。
他のフォロー/フォロワーもそうだった。表では元気に振る舞う人も、裏垢ではみんな暗いことを言った。
正直、居心地が良かった。
僕以外にも人生にくすぶってる人が身近にいることが実感できて好きだった。
---
陰口の温床になりかねないことは認めるしかない。
みんなもなんとなくそう思っていたのか、最近は裏垢でも当たり障りのないことを言う人が増えた。
表で元気に振る舞う彼は、裏垢でもフォロワーを増やし、自身の昔のツイートを「キモいです」と否定した。
ある人はのろけの頻度が増えた。彼女と理不尽な別れを経験したばかりの僕にはつらい。
後ろ向きな言葉や怒りの声は、すっかりタイムラインから消えてしまった。
---
平成最後の日、僕は御社(第一志望)からはお祈りメールをもらい、ゲームでは連敗し、新しく作品を作って表垢でツイートしてみるも反応はイマイチ、そんな辛い一日だった。
裏垢を覗くと、友達は令和に向けて決意を新たにしたり、増やしたフォロワーと楽しく会話したりしている。
僕以外の人間は着実に前に進んでいるのかもしれない。
今のタイムラインで「今日はこんなことがあって、死にたくなった…」みたいな事を言っても浮いてしまうだろう。少なくともいいねは貰えない。
愚痴なのにいいねもらいたいってきみはアホかw