3年近く経った今でも、憎くてたまらない奴がいる。
電子レンジの待ち時間やら、掃除機をかけているときやら、そういうときにふっと、どうすれば家族に迷惑をかけずにスマートにそいつに復讐できるか考えを巡らせている自分がいる。
できることなら殺したい。たとえば災害時にそいつが瓦礫の下敷きになって身動き取れなくなっていたら、周りにそいつ以外誰もいなかったら、自ら手を下すまでは行かずとも、自分では絶対助けないし、そいつが救助されにくい状況を作るぐらいはすると思う。
できることなら死んでほしい。レイプでも手足欠損でも顔面火傷でもなんでも、そいつに生き地獄に落ちてほしい。
そう思っているのに、実際には私は何もできない。
今日はどうしてもどうしても我慢できなくて、そいつの職場の口コミに星1つつけて消されない程度の悪評を書いて投稿した。投稿が完了した瞬間、胸がすっとしたのと同時に、罪悪感と、自分が投稿したのがばれたらどうしようという不安と、幼稚な言葉で幼稚な真似をしてしまった後悔に襲われて、すぐに消してしまった。
そんなに簡単に個人特定されるはずもないのに、どうしてこうも小心者なんだろう。自分でゴミ箱蹴っ飛ばして散らかしたゴミを自分で集める悲しさがなんとも言えない。
職場を辞めてすぐに、そいつの連絡先は削除していた。それを使って復讐ができそうだなと当時から思っていたのだが、実行しそうで怖くてその選択肢を消してしまった。今は後悔する気持ちと、やっぱり消しておいてよかったという気持ちが半々だ。
きっと一生憎み続けるんだろうが、一生復讐はできないままなんだろうなあ。せめてあいつが私より先に勝手に、できれば孤独に死んでくれることを願う。